リツエアクベバ

satomies’s diary

ちぃちゃんのお財布

昨日、娘を連れて買い物に行った。「ちぃちゃんのお財布」を買いに。
財布をもったのは初めてじゃないよ。小学校の時から買い物学習はやってるからね。通常の課外授業での買い物学習、遠足や宿泊行事での買い物学習。自分の財布を開く機会ってのは今まで何度もあった。ただね、札入れまで付いてる財布は持たせたこと無かったんだよ。札を数枚持たせるほどの金額の買い物学習も無かったしね。初めてのお給料もらった。その気持ちが新鮮なうちに、しっかりお札も入る財布を買ってやりたかった。
ファンシーグッズのあるお店を見て回り、まず商品の下見。ファスナー部分や札入れ部分をチェック。ファスナーが開きやすいもの、開いたときに中身を取り出しやすいように大きく開くもの、二つ折りの札入れ部分にボタンがついていて、普段ぱかぱかしないもの。そしてかわいい感じのもの。
これだね、ってのがあった。黄色、オレンジ、ピンク、白、黒、緑の5色。娘を連れてきて選ばせる。けっこう迷って結局黄色を選択。
テナントビルの中の、販売機コーナーへ移動。テーブルに椅子、そして傍らに飲み物の自動販売機。
座ってから、包装された新しい財布を取り出す。そしてわたしのバッグの中から「じゃじゃーん」と取り出したのは昨日娘がいただいてきた「給料袋」。娘の目の前で、その中からお金を取り出して新しい財布に入れてやる。15日ジメで半月分だったので硬貨もあって、娘にはわかりやすかったとも思う。
「さ、コーヒー買っといで」。
娘が席を立つ。財布のファスナーを開いて、販売機に。「ああちぃちゃん、10円じゃ買えないよ」。ここでちょっとフォロー。
帰宅してしばらくしたら、息子帰宅。「今日ね、ちぃちゃんに新しいお財布買ってあげたんだよ。お給料入れてあげた」。ふうんと息子が娘を見る。ジグソーパズルをやってる娘のその手元の傍らに、その新しいお財布。ははは、アレだよ、アレ。
息子がなんだかんだ。「そか、んじゃ今日のうちにそれを買いに行っちゃおう。ちぃちゃん、買い物行くよ」。娘は財布をつかんで立ち上がる。手提げバッグに財布を入れて持つ。「ああ、持っていくのね」。
帰りにスーパーに立ち寄る。レジでカゴを渡して、財布を開こうとしたら。娘も袋から財布を出して、同じ動きで財布を開いてた。
お?と、わたしと息子でしばし固まる。「ちぃちゃん、なに? 奢ってくれるの?」。
わかってたらもうちょっとうまいこと考えてうまくやったよ、くっそー。「いや、ちぃちゃん、ここはだいじょうぶだから」と、わけわかんねー形で財布をしまわせてしまった。もうちょっと上手いやり方とかあったんじゃないか、と、ちょっと後悔。
夫が帰宅。「今日ね、ちぃちゃんにお財布買ってあげたんだよ、お札入れがちゃんと付いてるヤツ」。そう話すわたしに夫が聞く、「アレ?」。娘、座ってテレビ見てた。そしてそのお財布は、手にもって膝の上に置いてた。アンタ、家の中、持って歩いてんのかい…。
「おやすみ」って、自室に行くとき。パジャマ姿の娘の手には財布。アイツ、ベッドにもきっと持ち込むんだろう。
今まで財布持たせても、中にお金が入っていても、それは「自分の財布」じゃなかったんだろうなあ、と思った。「自分がもらった自分のお金が入ってる自分の財布」ってのは、大きいんだなあと思った。
知的障害がある子が働くってことって、大切なことなのね。と、改めて思いっきり感じさせられる「ちぃちゃんのお財布」だった。