「ジジイ」で過去日記を検索した。ジジイはたくさん出てくるのだが、お目当てのジジイは見つからなかった。書いた気はするんだがな。
近所に愉快なジジイがいた。1997年の暮れに転居してきた時に、確か65とかそのくらいだったんじゃないかと思う。仕事を退職していたから。
陽気なジジイだった。酒飲みで世話好きで女好きで。地元の祭りでいっしょに酒を飲んでいる時に、油断するとつるっとケツをさわってくる。なんか昼間っから酒くさいこともよくあったな。
姑が死んだ時に、ジジイになんとなく話した。亡くなる少し前からのこと、反芻するように毎日考えてしまう。
「それでいいんだよ」って、ジジイが言った。亡くなったひとのことは、いずれ忘れる。だから、毎日思うときはちゃんと毎日思えばいい。それが供養なんだって。その話はよく思い出す。
ジジイの奥さんはチャキチャキした気持ちのいいひとで、よくヨモギで作った手製のお団子をくださった。
いつの間にか、なんだかジジイの様子がおかしくなり。たまにお見かけするジジイの奥さんは髪が真っ白で手入れが悪い感じになった。そして、まったく見かけなくなった。
家にはたまに息子さんらしき人が出入りしたり。そんな感じで何年も過ぎた。
今日、息子さんと立ち話をする機会があり。ジジイはこの四月に亡くなったそうだ。奥様は認知症が進み、衰弱もされ。もう長くはないそうだ。
今日はずっと、ジジイのことを考えてる。いずれ忘れる。だから今日は在りし日を思う。