今日は、お友達と公園ランチ。
お外で尚且つ、対面の距離は2メートルある。マスクして話し、黙ってメシを食い、またマスクして話す、まあ楽しい。
と、高齢男性が「ちょっと失礼しますよ」と入ってきた。公園の中のベンチですから「どうぞどうぞ」と席を詰める。
すると。男性がわたしたちにどんどん話し始めた。どんどん話す、いろいろ話す。86歳でお元気で、毎日たくさん歩くんだそうだ。
どんどん話す、いろいろ話す。ジジイ、マスクしてない。
わたしたちは別にマスク警察じゃない。マスクしないで公園来ようが別にどうでもいい。
近寄らないでくれれば。
ひたすら話し続けないでくれれば。
わたしたちは、なんつーか、あうんの呼吸でそれぞれのスマホをチェックし始めた。とりあえず、わたしたちの会話を「休憩」することにした。それぞれのスマホに集中などしてみた。
ひとりがわたしに、非常に個人的な会話の糸口をふった。要するにジジイに会話を取られないようにしたのか。わたしはその質問に答えて、またわたしたちの会話が始まった。
「それはそうと、ですね」
と、またジジイが強引に会話に入ってきた。
どうしようかなあと思ったけれど、きちんと言うことにした。
「申し訳ないのですが。わたしたちは、マスクをしていない知らない方とはお話しできません。わたしたちにはそれぞれ、大切にしなければならない家族がいます」
ああ、そうですか。と、ジジイがにこやかに答えた。私はいつもマスクをしているんですよ、ちょっと外す時もこんなふうに耳にかけたりするんですよ。
(知らんし)
「申し訳ないのですが。わたしたちは、マスクをしていない知らない方とはお話しできません。わたしたちにはそれぞれ、大切にしなければならない家族がいます」
もう一度同じことを言って、立ち上がって丁寧に頭を下げた。
では、失礼しますね。と、ジジイが立ち上がった。それからにこやかに付け加えた。
そうそう、私はね、趣味で歌を歌っているんですよ。
そう言ってから、いきなり両手を広げてでっかい声で朗々と歌い始めた。ザ声楽、えせオペラ、みたいなやつ。
(勘弁してください)
やれやれだ。ネタかよ。と、思った。
家に帰って息子に話した。「どんなジジイだった?」
すぐ思いつく感じのジジイじゃない。むしろ、いい感じに見えるタイプだった。でもマジ、勘弁してほしかった。