リツエアクベバ

satomies’s diary

酸素缶

去年の4月7日、amazonで酸素缶を発注した。

はあはあする苦しさはなかったのだが、とにかくなんでもいいから楽になりたかった。はあはあするわけではないのに、ずっと苦しかった。ぐったりしているのに、眠れるわけじゃない。ふつうはぐったりしていて目をつぶってしまえば、気づくと二時間くらいは経っているように思うが。時計は、見るたびに5分とか10分とかしか進んでいなかった。

「ハッピー・ハイポキシア」「幸せな低酸素症」。あの時、この言葉を知っていればなあと思う。「息苦しさはあるか」と、自宅療養中、何度も聞かれた。「無い」と答えた、はあはあしていなかったから。だから、酸素濃度が下がっていたのに「計り直せ」とか、「動き回って再計測」とか言われ続けた。「ダイニングテーブルを10周歩いてから酸素濃度を計らなきゃいけない。朝、それをやらなければならないから、夜解熱剤を飲んだら朝には薬が切れてそれができない。だから夜解熱剤は飲めない」。これを本気で言ってた。かわいそうなくらい、言っていることがおかしい。それ、息苦しいんだよと、かつてのわたしに言ってやりたい。

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4月7日のわたし。「軽症なんだろう」と言ってるし。しかしこの文章、明らかに「軽症ではない」。
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amazonからの酸素缶は、翌日には届いた。あっという間に酸素はなくなり、カラの缶が転がった。気休めにもならなかった。

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オミクロン優勢になってから、こうした話はとんと出なくなった。コロナウイルスの変化は早い。経験したことはもう誰の役にも立たず、ただ反芻する個人の思い出でしかない。
それでもわたしはわたしのために、記憶が残るうちは書き残しておきたい。