リツエアクベバ

satomies’s diary

おばちゃんとおばちゃん

出先で100均に立ち寄った。あまり行かない場所だったので、どこになにがあるかよくわからない。とりあえず店内をぶらぶらしてた。

「あのう」と、おばちゃんに声をかけられた。同世代ではない、自分よりけっこう上だと思うが母より全然若い。70代前半くらいかの、小柄なおばちゃんがおずおずとわたしに言った。「電球はどこにありますか?」。

制服を着てるわけでもない、店員とまちがえたわけでもない。おばちゃんはわたしに聞いている「電球はどこにありますか?」。「電球がないとお風呂場が暗くて困るんです」。

レジをちらっと見る。店員がふたり、レジを打ってる。ああそうか、あそこに割り込んできけなかったんだな。と思っておばちゃんに言う。「わたし、ここのお店あまり来ないので場所はよくわからないんです。でも、いっしょにさがしましょう」。

電球だから電気系だ。携帯関連あたりにあるはずだ、ここは洗濯関連か、ここはキッチン系か。売り場をキョロキョロと探し始めたわたしにおばちゃんが言う「お掃除のものの裏だって言われて」。

店員に、聞いたんかい。店員、それしか言わなかったんかい。で、掃除系はどこよ。

ここかー!ってとこに、電気系の売り場があった。電気小物とクリプトン球があった。「これですか?」と、おばちゃんに聞く。ちがう、とおばちゃんは悲しそうに言う。「電球。普通の電球。あれがないとお風呂場が暗くて」。でも、無いなあ。LEDばかりになったからかなあ。ここにはないから電気屋さんですかねえ。

「探してくれてありがとうございました」とおばちゃんが言う。役に立てなくてすみませんと言って、売り場をまた見始めたらおばちゃんが叫んだ「あった!」。え?マジか、どこどこどこどこ? 売り場の棚の一番下に横置きで突っ込んであった。目線の範囲しか見てなかった。小柄なおばちゃんの視界に入って、おばちゃんが自ら見つけることができたんだ。

「あった!」って声に走って戻ってきたわたしに、おばちゃんがまたお礼を言う。いやいやだめだめ、わたし無いとか大ウソ言ってるし、全然だめだめですから、ほんとうにごめんなさい。「探してくれて」いや、ホント全然だめだめだから。とか言って、いえいえ応酬。
いえいえいえいえ。いやちがう、大事なことはただひとつ。「見つかってよかった。お風呂場、明るくなりますね!」

そうおばちゃんに言ったときに。小柄なおばちゃんの細いうでの肘の上あたりになんとなく手を添えた。ふわっとやわらかいダウンの感触。今日は寒かったね。