リツエアクベバ

satomies’s diary

ALWAYS 三丁目の夕日

 ああこの番組は観たいな、とか思ってても、いつもすぐに忘れてしまう。でも、ちょっと前から「11月2日、11月2日」と自分に言い聞かせて忘れないようにしておりまして。金曜日には息子に宣言、「おかあさん9時から映画観るからね」。
 いや、レンタルで借りてこなきゃな、と思っていまして「ALWAYS 三丁目の夕日」。特に観たいわけでもなかったんだけど、なにしろ続編の映画公開行きたいもんで。だから、ねえ、続編なんだからこっち観とかなきゃな、と。わり〜けど純粋にこの映画が観たいわけじゃないのよね。BUMPの「花の名」、映画で流れるとこで映画館で聞きたいから。なんせこの映画の映像を観て作った曲だそうなんで。
 賞を総なめで評判だったらしいんですが「ALWAYS 三丁目の夕日」。特に食指は動かなかったなあと。「昭和の風景を元にした映画」。これこのパターン、「○○を元に」ってフィクションは、そのストーリー性のためになんか「元」ってヤツが「感動盛り上げアイテム」に使われる。こういうの、あんまり好きじゃないのよね。
 漫画版は、昔読んでたけどけっこう好きだった。中で出てくる昭和グッズに注釈がついてたりして。これが好きでね。そ〜〜〜、そ〜〜だった〜〜、って、忘れかけてたものを見つける感じ。ストーリーも普通に無理なくいい感じ。こういう原作ネタも映画になったら、ぐわ〜んと盛り上げ効果を仕込むんだろうなあ、とか。そういう風にも思ったのも、ある。
 観まして、ね。えっと確かfujiponさんがエントリあげてたと思って読みに行く。この過去エントリが翌日の11月3日に再掲されてた。ふむふむ。追記部分に共感。

ALWAYS 三丁目の夕日(再掲) ☆☆☆☆/琥珀色の戯言
でも、その一方で、この作品で描かれているものは「理想化され、純粋培養された昭和30年代」みたいな気もするんですよね。

 わたしは。30年代後半生まれ東京育ちなので、かすかに知ってる感がある箇所はいくつかある。でもねえ。この風景をナマで克明に記憶してる昭和20年代生まれくらいの世代の方々が、世代として知らないことがわかってるはずなのになにかっちゅ〜と「コレは知らないだろう?」とか言ってくるめんどくささってのをすぐに思い出してしまいました。知ってる世代の思い入れが強い時代ってことはまちがいないと思う。人を変えてくり返されると関心越えてお腹いっぱい。この世代はなにかっちゅ〜とその前の大人たちに「戦中は」って言われてたはずなのに。その背景からできた曲ではなかったっけ「戦争を知らない子供たち」。
 昭和34年を描くときにそういうおしつけがましさを感じなかったのは、監督がわたしの世代だからかも、とも思ったり。そのおしつけがましさみたいなのを排除すると、こういうちょっとファンタジックな世界になるかも、とも思った。
 で、映画自体のわたしの感想は。なつかしかったな。出てくる昭和の風景が、ってことにストレートにいくなつかしさってのとはちょっと違う。出てくる人間のキャラ、人間のドラマ。こういうドラマって、昭和の頃たくさんあったよなあと。そういうなつかしさ。
 商店主が地元の飲み屋に集う景色は「時間ですよ」だし、鈴木オートのオヤジが激昂するシーンは「寺内貫太郎一家」だし。医師が「焼き鳥は娘の好物」って言った途端に(ああきっとこの「娘」は空襲で死んだ設定だな)と思うのは、そういうドラマたくさんあったから。戦前を生き抜いたヒロインを中心としてたNHKの朝の連ドラは、そういうシーンがいっぱいあったと思う。淳之介の母親のシーンも、なんかのドラマのなんかのシーンみたいな連想はあったなあと思う。これはそういう女の事情が存在したことが人々の記憶にまだ強い時代だったからとも思う。クリスマスの扱い方もそう。子どもにとってのこうした季節行事には貧富の差がはっきりしていた時代があった。そういうシーンもかすかに記憶にある感じ。「一億総中流」のちょっと前を描くとよく出てくるシーン。テレビといえば力道山が出てくるのは、ちょっと過去をさかのぼるようなドラマではお約束のシーンだったかも、とか。
 「金妻」とか「男女7人」とか、W浅野の登場とか。その頃からテレビであんまりドラマ観なくなったなあ、と。好いた惚れた中心の男女のいきちがいだのなんだのかんだのと、テレビドラマがそんな話が多くなって、こういうホームドラマみたいなのが新鮮に映ったってこともあるのかなあ、とか思った「ALWAYS 三丁目の夕日」。それと、ちょこっと時代をさかのぼったドラマ作っても、今じゃそうたいそうな差は無いからかもしれない。昭和30年代は今にしてみれば激変の時代だったんだろう。
 う〜〜ん、でもコレ観るんだったら以下のドラマ群の方が…、とか思うなあ。なんかちょこちょこっとお手軽にいろんなもの詰め込んだみたいな感じ「ALWAYS 三丁目の夕日」。

 ああ、わたしにとっては「昭和の原風景的ドラマ」はこっちなんだな。
 単に昭和グッズや風景に関しては。過去さかのぼってコンテンツにしてあるサイト見た方が「そのまんま」って感じでわたしはおもしろいです。別に変な感動仕込んでないし。

 でも。続編は観るよ、映画館で。映画館で映像と曲とのコラボを体験するために。スケジュール調整がちょっと厳しそうだけど。ああ、あと。「見えない指輪をかざしてながめる」シーンは好き。あの指輪の先は、観たい。