リツエアクベバ

satomies’s diary

母と女子

早起きして夕飯まで仕込み、単独で実家に行く。

横浜から湘南新宿ライン利用で新宿へ。新宿の南口の構内の300円ショップをのぞく。樹脂利用のにせピアスが150円の特売。がさっと買い込む。

人生の節目節目でピアスをあけたいと思いながら、結局あけずにここまできた。たぶんあけないと思う。
わたしの耳たぶは厚い。とても厚い。ここにぐいぐい穴を通すのかと思うと、想像しただけでぎゃーとなる。あけた後も、そこに自分でぐいぐいと金属を通すのかと思うと、それも想像しただけでぎゃーとなる。

分厚い耳たぶに大粒のパールのピアスがぽっこりとのるように存在を主張する。これがなんとなく、わたしにとっての大人の女の人としての憧れだった。結局、弱虫が勝ってそこに到達できなかった。

弱虫だのなんだのと言えないような年齢になったが。結局わたしは、一生耳に穴をあけない。耳たぶが分厚い。本当かどうか知らないが、耳たぶは厚い方が金運がいいらしい。そしてわたしは、普通の人生としてお金できつい苦労をしていない。人生後半で金運取りこぼしたら、老後がヤバい。と最近は思う。

母と会って、がさっと買い込んだ樹脂のにせピアスを見せる。
母がきゃーきゃー言い、あたしはこれ!とひとつをぱっと取って耳にする。
それから母の手作りのアクセサリーを出してきて、これはアンタにあげる分だとわたしに差し出す。

手作りのブレスレットや指輪を両手にびっしりとつけて、きゃっきゃとはしゃぐ。はしゃいでから「遊びに行きたーい!」と叫ぶ。

「遊びに行けないからさ」と母が言う。「こんなのいっぱいつけて、バッグをあちこち並べたりして。そんなことやってるのよ」と母が言う。

そうだよねえ、遊びに行けないんだよね。と言いながら、母が作った指輪をした自分の手を眺める。

そうしてそんな指輪やブレスレットをした手でペンと紙を取り、わたしたちは作戦会議をする。

検温して37.5度以上の熱があったら。

  1. わたしに連絡する
  2. かかりつけ医に連絡する
  3. 味覚 嗅覚の確認をする
  4. 救急車を呼ぶことになったときの準備をしておく(保険証 お薬手帳 2万円くらいの現金)

これといった持病もなく、ばりばり健康な高齢者の母。感染しても軽症で済めばいいなあと思いつつ。急変の可能性に対してのことなど話し合う。