リツエアクベバ

satomies’s diary

浴衣をね、買いましたの

娘を連れてお買い物。家の近くのテナントビルの中の呉服屋で、浴衣が安くなってた。娘に浴衣、買おうと思って。
小学生の身長なんで、中学生になっても子ども服サイズで浴衣を買ってたんだけど。中2の夏の地元の盆踊りのとき、着せてから(待てよ…)と思った。もう小学生のガキじゃないのに、コレはかわいそうなんじゃないかって。
「ちぃちゃん、ゴメン」
今着たばかりの浴衣をすすっと脱がせて、ばばっと引き出しを開けてわたしの浴衣の中でも地味じゃないヤツを取り出す。このとき取り出したのは白地に水色の大きな蝶の柄の中振り袖。まあわたしはもうこっぱずかしくて着れはしませんわな、というブツ(浴衣で中振り袖ってあんまり無いよ、すげ〜かわいいよ)。
この子の身長に中振りはきついかな、と思ったら。あら長くてかわいいぞ、と。おはしょり部分がやたらと出たけど、それは着せテクでうまくやれるとやってみてわかった。うっひゃ〜、かわいいぞ、と。
でもって、その夏から、わたしの浴衣をとっかえひっかえと、小学生の身長ながら「おねえさんぽい浴衣姿」を獲得してきたんだけど。それはこの子が小さい頃に思った「普通の育ち方をしないだろうこの子に、わたしの着物は着せられないのだなあ」という淋しさをぶっ飛ばせた、わたしの喜びだったと思う。
さてこの夏は。かーちゃんの浴衣ではない、「アタシ自身の大人の浴衣」ってのを買ってやろうと呉服屋に行ったわけで。
小ぶりの柄か大柄か、個性的な色かピンク系か、なんてことを考えつつ、ばばばと物色。「すみませ〜ん、ちょっとコレ広げていいですか〜〜」。
オバチャン出てくるかと思ったら、オニイチャンが出てきた。ざばっと浴衣を広げてくれて、わたしがそこからさささと娘に簡易着付けをしながら全体の感じを見る。
「失礼ですが、身長はどのくらいですか?」
(来た!)と思って、サバ読みっての?プラス数センチの嘘を混ぜる、「140センチくらい」(ホントは138センチ)。
「それではサイズが合わないと思いますが…」。はしょり部分を手ですすっと作りながら「いいの」と答える。
「おはしょりの部分がけっこうたくさん出てしまうと思うのですが」。
「ごめんなさい、いいの」。
(小さいけどね、10代の後半に入ったのよ、身長から出てくるガキの浴衣はノーサンキューなんだ)。なんてことを思うけど、そんなことをずらずらとわざわざ言いたくなかったので、そこからは無言になってしまう。
見るからにダウン症児のこの子にもそういうモン着せたいのか、って思われてたりするのかなあ、と、ちらっと思った。ちらっとそう思ったことをぱぱぱと振り払うように再度言う。「このサイズは着せた経験があるからだいじょうぶ」。
おお、この身長でこの色の大柄はきついかと思ったら、いけるいける。かわいい、かわいい、コレにしよう。
さささと脱がせて、それからやってみたかったことをちょっと。姿見の前で羽織って自分にすすすと簡易着付けをして。わお、この浴衣、やっぱいいわ。
げ。見られてる、と思ったら急に恥ずかしくなった。急に恥ずかしくなって、思わず言う、「あら、この浴衣はおかあさんにはダメね、恥ずかしいね」。
黙って見ていた店のオニイチャンが「いえ、お似合いですよ」と言う。
やられた〜〜〜〜。そこで「オニイチャン」が呉服屋にいる意味に、急に納得、した。
オニイチャンに「お似合いですよ」と微笑まれていい気になったことが急にこっぱずかしくなって、ばたばたと半幅の帯を選ぶ。自分の浴衣にも絶対に合う色の帯を買ったのはちょいとナイショ。
ちなみにうちのお嬢は盆踊り大好き女。スタートからラストまで飽きもせずに踊りまくる。さあて、毎夏二ヶ所は行く「盆踊り」、今年は三ヶ所ですぜ、ちぃちゃん。おニューの浴衣でぶいぶい言わせましょうぜ〜〜。