リツエアクベバ

satomies’s diary

会えなくなるひと

夫が帰宅して、食事をしているときに。「ねえ」と、話しかけた。「ねえ」と言いながらわたしが何も言わないので、夫がわたしを見る。ただ、ただその日あったことを話そうと思っただけなのに。胸がいっぱいになってしまい、わたしは黙ってむせび泣く。

やっと、なんとか話す。今日ね、スーパーに行った。駐車場が混んでいて、見まわしながら車をすすめていたら。歩いてきたおじさんが、わたしに「今、出るから」と言った。今、車を出すからそこに停めるといいよと言ってくれたという話。
あったことは、ただそれだけのことだ。

「今、出るから」

その声と、言い方が。古い友人にそっくりだった。太く低い美しい声で、もさっと話す言い方が、まさにその古い友人そのものだった。

その声と言い方に、わたしはすぐに懐いてしまい。窓をあけて、「大丈夫、気持ちだけいただきます」と答えた。そして、その先にあったスペースに停めて。その方が車を出して、外に出るためにわたしの前を通っていったときに手を振った。

それから、その車を送って少し泣いた。急にその友達に会えたような気がしたから。忘れていたのに、急に不意打ちで会えたような感じ。実際にはもう会えないんだよね、その友人には。死んじゃったから。死んじゃったんだよな。

ちょっと前に母と話していて。母が言った「ああ、あのひとに会いたいなあと思っても。ああ、死んじゃったから会えないんだったと思うことが増えた」

ずっと生きてる、って。そういうことなんだなと思う。