リツエアクベバ

satomies’s diary

マスクと河津桜

金沢動物園河津桜を見に行った。

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金沢動物園は、障害者手帳の提示で本人と介護者2名が入園料免除になる。駐車場も減免。なのでふらっとよく行く。
ここのところ、子どもが多い場所なので避けていたが。河津桜が咲いているだろうと出かけることにした。

帰り際に売店の近くで、ベンチでアイスを食べていた。食べる、マスクをはずす。

ボックス型のベンチで、夫が対面でわたしと娘が並んで座っていた。わたしと娘の背面に若い父親がいるようで、ちょろちょろする子どもの名前を呼んだりしていた。
その父親の子どもだと思う、6歳か7歳くらいの男の子が娘に近寄り、娘の顔をのぞきこんだ。

よくあることだ。子どもにとって、特に小さい子にとって異質さを感じるのだろうと思う。よくあることだ。
マスクが習慣になって、こういう視線を浴びることが少なくなったなと思う。
ああ、食べるからな、マスク外したからなと、少し物哀しく思いつつ流そうとしていた。

「じろじろ見ない!」と、背面の若い父親からきっぱりとした声が飛んだ。
「おとうさん、ナイス」と、わたしが小さい声で夫に言った。
そのあと、夫に話したいことがあったのだが、場を変えて話そうと思ってあとで話した。

あの若い父親が、あれだけきっぱりとすぐに言えたのは、あの若い父親は娘を見ていなかったからだ。おそらく、あの子がなんで娘をじろじろ見たのか、あの人はわかっていない。

わたしは娘を連れて、異質さを感じる子どもの視線をずっと経験してきた。親たちは、皆困ってしまう。「子どもがなぜ見るのか」に対しての答えを親が持っていない。わたしと娘の前で、子どもに質問をされたら困るのだと思う。

ねえ、おかあさん。あの子はなんか変だよ。だってあの子はなんか変なんだよ。

こう一生懸命言う子どもに困り果てた知人、という場面が過去にあり。友人でも全く知らない人でもなく、知人。なんか双方いたたまれないよなあ、とよく覚えている。

というのが、夫にあとで話したこと。

アイスを食べ終わり、わたしたちはそのベンチから立ち上がった。ふと見ると、若い父親はわたしたちのすぐ後ろで、わたしの「おとうさん、ナイス」は聞こえていた距離だったなと思う。
立ち上がって、まあなんというか、娘が普通の大人でないことに気づいただろうか、どうなんだろう。

でも、わたしたちはあの、迷いもなくきっぱりと出た「じろじろ見ない」に、なんか助けられたなあとか思った。