リツエアクベバ

satomies’s diary

夫のiPhone

夫は設計事務所に勤務。20代は手で図面を引いてた。30代からパソコンで仕事。

仕事以外に電子機器関連、興味無し。要はたぶん「普通のオジさん」。携帯を持つようになっても機能をいじくり回すでもなく「単なる電話」。メールを出すと電話をかけてくる。

時代はガラケーからスマホに様変わり。キャリアは中高年のスマホ契約をひたすら誘ってくる。
息子に聞く「どう思う?」。「通信費、もったいない。絶対使わない」「だよねー」。本人もいらないいらないと言い、当然のようにガラケーで機種変したりしていた。

さて。夫は昨年の1月、還暦を迎えた。一昨年が始まる頃からこの還暦祝いをどうするか真剣に考えていた。ちょっと高いもの、長く使うもの。

夫に聞くと「時計」だと言う。結婚10年の時にペアウォッチを買った。家を建てるのに大きなお金が動いていた時期だったので、たいしたこともない、安いものを買った。その時計はもう20年使っていて、電池交換の時にそろそろ動かなくなる時期がくるかもと言われていた。

じゃあ時計にしようと店に物色にいくと、店の人にペアウォッチを出させる。店の人は当然のようにわたしの腕にもはめてくる。あー、これじゃ還暦祝いにならないじゃないか。わかったわかった、時計は結婚30年ということで自分たちのお祝いに買おうということになった。SEIKOの素敵時計がわたしの腕にもやってきたが、(いつか欲しいのApple Watch)は心の奥底に沈めることにした。こうして還暦祝いのブツ選択は振り出しに戻った。

還暦、還暦。ジジイ、ジジイ。遅れたジジイにしないために!そうだ!iPhoneを買おう!

8とXが出たタイミングだった。7が一気に値下がりした。7は非常に魅力的な機器だったし、Xは夫にはジャンプし過ぎるし、Xの隣で廉価ちっくなイメージがついた8は、そのタイミングでお祝いにはあんまり選びたくはなかった。

息子に「おい、おとうさんのお祝いにiPhoneを買うぞ」と言って、諭吉を二人ほど召喚させた。「オマエが選んで買ってこい」と言ってケースも買わせた。わたしはアップルストアで7を買い、わかりやすくホーム画面を設定した。還暦より早くクリスマスに渡すことにしたので、きらきらと輝くクリスマスツリーを壁紙に設定し、ocn モバイル one のSIMカードを入れた。まずデータ通信SIMを入れ、機を見てナンバーポータビリティー で通話機能付きのSIMに替える計画だった。

夫はiPhoneを贈られて、驚いてそして喜んだ。ハウツー本もいっしょに渡して少しずつ習得した。ガラケーを解約し、電話機としての使い方にも慣れていった。
メールも送ってこなかった夫が、LINEを使うようになった。通勤時に音楽を聴くようになった。ガラケーの時よりカメラを使うようになった。壁紙がよく変わる。楽しんでいるらしい。

進んだジジイにはならないが、遅れたジジイにはもうならない。なにより夫からLINEがくるとわたしがうれしい。