会社の共済で入っている医療保険に問い合わせたら、入院の日額5千円と手術給付金が出ることになった。他にも保険に入っているが、ガンや病気のものばかりでケガについてはこれだけだった。
必要書類を取り寄せると、「事故証明書」というのがいるんだそうだ。初めての経験は、初めての経験を芋づる式に連れてくる。
必要事項の記載に「事故の場所」がある。「どこと言われても、どう書くのか」と言うので「ほらここだよ」と地図を見せ、おおよその番地を教える。
「バイクに後ろから追突された、警察を待っている。左足首が痛い」と連絡してきた時に、夫のiPhoneの位置検索をした。夫のiPadを開いて、デバイスを探す。配偶者の位置特定をするとか、まるで浮気調査や行動管理のようだが、そういうことではない。ジジイの機器設定をするのがババア、というのがうちの事情だからだ。ババアが設定するのでジジイの機器のパスコードをババアが開くことができる。これが今回、功を奏した。
あの夜、事故の位置を何度もストリートビューで見た。なぜここで？と思った。暗い道ではない、曲がってもいない、細くもなく、見通しが悪くもない。何度も開いたので、事故現場の住所を記憶してしまった。
夫が帰宅したので事故証明書の申請の手続きを終えた。手元に届くのは来年だろう。年が明けてからの警察の聞き取り調査の日程も決まった。いろいろなことを、ひとつひとつこなしていく。
