リツエアクベバ

satomies’s diary

ばあさんIT

母が友達からタブレット端末が欲しいと相談を受けたそうだ。母がiPadを使っているのを知っているという前提で。「あなたみたいのが欲しい」「でもあなたが持っているのはどうやら高いらしいというのはわかる。5〜6万するんでしょう?」「でも似たようなので一万五千円くらいなのもあるんでしょう?そういうのが欲しい」。
まあ、要はこんなことのようだ。(あなたのそれをあなたが使えるようにしているあなたの娘に、わたしが欲しい機械もなんとかしてほしい)。母はそれに対して、あなたはあなたの息子さんや娘さんに頼んでみたら?と言ってみたそうだ。その返答は忙しくて相手にしてもらえない、ということだそうだ。
「これより小さいのがあるの?それはもっと安いの?」と、母がわたしに聞く。ううん、たぶん、先方の言っているのはアップル製品ではない。アンドロイド端末のことだと思う。それよりあなたたちは。あなたたちは通信費のことを理解しているのか?
母はiPadの初代機をSoftbankで契約し、Softbankで機種変をして毎月Softbankにいくらだったか6千円だかそこらを支払い続けてきた。いろいろな会社がSIMカードを発売したのを機に、Softbankを解約した。わたしがアップルオンラインから機器を買い、わたしがイオンモバイルと契約し、すべてセットアップして母に渡した。母の銀行口座からSoftbankにお金が支払われなくなった時点で、母は通信費がかかるということをころっと忘れてしまったらしい。いろいろ元気だし、いろいろ聡明だが、まあこういうところやはり80代だなあと思う。自分の興味関心が動かないことに関しては、一度は理解したはずの情報がどんどん抜け落ちていく。「毎月お金かかるの?」。
そのお友達が欲しいというなら、そのお友達のためにわたしが動くのはわたしはちっともかまわない。機器を買って終わりではなく、機器を買ったらその機器が動いて用をなすためになんらかの会社と契約をすることになる。そして毎月いくばくかのお金を払い続けることになる。その理解が難しい人に他人が関わるのはかなり危ない話だと思うよ。
母はそのお友達に聞いたそうだ。「買ってその機械で何がしたいの?」。よくわからないけど、なんか最近そういうのがあったほうがいいような話を聞くから、だから欲しい。ということだそうだ。電化製品をひとつ増やしたいくらいの話なんだろう。そういう人はなんとなく増えているのかなと思う。
母がiPadを使いこなしているのは。あの人は昔から、そして今でもたくさんの「文化に対する欲」がある。絵が見たい、音楽が聴きたい。そこそこ高尚で幅広い。母のiPadからは美術館、劇場、コンサートホールなどの検索履歴がざくざくある。そしてもともとお手紙屋さんで、お手紙を書くのが大好きな人なのでメールもかなり使いこなす。年若い友達が多く、交友関係が広いのでアドレス帳もたくさん埋まる。海外に住む姉とのSkypeは日常的だ。要するに必要な機械なんだよね。この用途というのも大きいんだと思う。
メルマガもとっている。楽しみに読んでいるらしい。先日母と親戚の家に行って、そんな話が出たときに「あのね、ツケメンのファンなの」と母が言った。周囲は目を白黒だ。ラーメン屋とはおよそ似合わない感じのこじゃれたばあさんが、ラーメン屋巡りでも趣味になったのか。いやいや違う。お若い人にはこう付け加える。「あとでアルファベット表記で『THUKEMEN』って検索してみて」。まあそういうことだ。大好きなんだそうだ。
このご友人に関しては「いろいろ関わると難しそうだから、『84歳だからわからない』でかわせ」と母に言った。この友人も母より若いんだそうだ。お金が関わることはやっぱり難しいよね。欲しい用途がもっとはっきりしていたら、いくらでも力になるんだけどな。