リツエアクベバ

satomies’s diary

太陽ギャンブル

自宅の屋根にソーラーパネルがのっかって、東電との売電契約も整い、太陽光発電が始まりました。ネット上には自宅の発電数値を日記としてのせている人がたくさんいらして、ドキドキしながらそんなページを開いたりしております。
しかしアレだな、と思うのですが。これは投資というか、自然を相手にしたギャンブルですな、と思います。太陽光発電を始めるには、なにしろけっこうな資金がいる。これでトクしようと思って始めるということでいえば、太陽の働きを相手にしたギャンブル的要素があるよなと、降りしきる雨を見ながら思ったりします。
「賢くオトク」という言い方がある。これは裏を返せば「バカは損」ということになる。つまり、太陽光発電開始のもろもろの計算がはずれりゃアホウということか、と、小心者のわたしはドキドキするわけです。メーカーもいろいろだし、屋根の向きや形とか環境とかで、どこまで見積もりのシミュレーション通りにいくかわからない。うちが使うソーラーパネルと同じメーカーを採用した方で、事前に出されたシミュレーションの数値を上回った実績を出してる個人のブログも読んだ。でも、そうじゃないケースだってたくさんあるだろうと思う。
今回お願いした会社は、見積もり前に営業さんも電気工事の方も事前に何度も出向いて屋根の写真を撮ったり、屋根に上って計測したり。そうやって出てきた予測数字ではあったけれど。実際に発電環境整ってから営業さんが難しい顔をした。家の近くにある落葉樹の大木が春の若葉をびっしりと繁らせていて「この時期の午前、東の方向からの影が発電に影響する可能性が…」と。見積もりの時期に枝だけだったその木が、若葉の時期にここまでびっしりと葉を繁らせるとはと、そこまでの状況になる可能性を見過ごしたということらしい。
夏場や冬場は日差しの高さや落葉でまた環境が変わるので、午前の発電にこの木からの影響を受けるのは主にこの時期ということなんだそうだが、年間で一番電力稼げる時にあの木はどうも…、ということだった。ちなみにネット上で「航空写真を使って自宅の屋根が太陽光発電に向くかおおまかに判断できる」サイトがあるのだけれど。そこで「お宅は偏差値高いですよ」ってことだったんだけど、改めて見てみればここで使われてる航空写真は数年前のもので、しかも木々の様子ではこの写真は秋。

ニコそら診断

営業さんは、あの木がうちの木だったら剪定して欲しい、人んちの木だったら日照権を主張して剪定してもらって欲しい、と言う。この木はいわゆる団体さんの土地の端っこに立っている木で。昔々、その団体さんに土地が渡る前の時代からの、おおらかな田舎の山林の端っこにあった木なわけで。まあ要は大木。剪定っつったって、ちょっと植木屋さんが一人来て、って規模の話ではない。日照権やらなんやら小難しいことを主張したら、一気にばっさりやられかねない。生きとし生けるものとしてこんなに大先輩な大木さまに、そんな、電気がどうの発電がどうのとかっていう小賢しいことでその生存権が揺るがされるのは失礼千万だとわたしは思ってしまう。そしてわたしはあの木がとても好きだ。ここに引っ越してきてから何枚もあの木の季節の写真を撮った。そんな日々をここで積み重ねてきたんだと思う。
営業さんの「うむむ…」顔の報告と、わたしのそんな思いと。それを夫に話す。あの木とともに生きる。これがわが家の見解と結論。自然相手になにかすれば、自然相手からのなにかも受け入れるってことなんじゃないかとも思う。これがビジネスならばまた違うのかもしれないが、自宅の屋根にパネル程度なのは家庭菜園に近いものなのではないかとも思う。いや、家庭菜園にしちゃ設置に金がかかり過ぎるのだけれども。
ちなみにうちが設置に踏み切った理由のひとつには、「そろそろ給湯器が寿命」というのがある。また「屋根や外壁のメンテの時期が近づいてきていた」というのもある。向きが真南で屋根面積が広いので、太陽光発電に興味があったというのももちろんある。でも、それだけでは屋根に車一台程度のお金をかけるということを現実的に考えられなかったと思う。
うちはガスはプロパン。プロパンガスは光熱費が高い。プロパン使用地域はオール電化の営業の狙い目地域のようで、たくさんの営業トークやチラシ等は入ってきてた。ふーんと流していたのは全て「まだまだ使える給湯設備を廃棄する気はない」。給湯器の寿命の時期がくれば、エコキュート検討の時期がくるということなわけで。そして家自体のメンテの時期。屋根にパネルのせるのならば、屋根のメンテは必要。屋根のメンテ時に足場を組むのだけれど、この足場を組む費用は工事代に入ってくる。屋根のメンテをするのならば、同様に足場を組む費用が必要な外壁も同時にメンテする方がいい。あと、どーだこーだあーだこーだで、何がいくらで何がどうので。要するに全部一括で同じ会社に工事を依頼して、全部一括でローンを組んだ。屋根のメンテと強化、外壁塗装、エコキュート導入、太陽光発電設置。太陽光の設置ローンは銀行のリフォームローンより安かった。給湯をガスから電気に変えたけれど、調理分にガスの契約は残した。プロパンは割高なのは承知の上で、ひとつだけに頼るのは心理的に抵抗があったから。
業者さんに見積もり出してもらう時に、夫が屋根のメンテで金属屋根の重ね葺きを頼んだ。通常のメンテならもっと安く済むはずだった。見積もり出してもらって最後の返事を出す時に、わたしの顔を見る夫の表情と営業さんの表情と同じだったぜ。ママのスーパーのカゴにお菓子入れる子どもじゃないんだからさ、とは思いつつも、ローンを背負っていくのは夫なのだから、それはゴーでしょうと。でも同じような顔してこっち見てるのがおかしかった。今回の屋根材のカタログ見てる時にも、彼はとてもうれしそうな顔してた。まあ屋根材なんてのはわたしにはよくわからん。夫が満足していればそれでいいかとも思う。今回分は通常のメンテのみより高額になるが耐久性から見て長期的にははるかに得になるのだそうだから、どうせローン組むんだし、やれる時にやっておいた方が年食ってから楽だとも思う。
そういえば。外壁塗装の色を決める時に。標準価格の範囲の色の中から選ぶということで、わたしは単純に「今はこの色だから、このカタログだったらこの色でしょ?」と簡単に言ったのだけれど。夫は「いやいや…」と言ってカタログの色見本を見つめ続ける。「前は何色の中から選んだの?」とナニゲに聞くと「50色」というので驚いた。まあホントに彼は、自分の設計作品としての自邸にこだわってきたんだなあと思う。結局以前と同じ色調だけれど、以前の外壁とは少し違う色になった。
そんなこんなで家はきれいになり、そしてとにかく太陽ギャンブルの日はスタートしました。自然相手に春夏秋冬、数値はどうなることでしょう。大幅に下がるはずのガス代と、買電価格と売電価格と。そこで出ている「従来よりトクになっているはずの金額」が、実際に支払うローンの金額にどう影響していくのか。まあお日様次第の話ですので、あんまりヒヤヒヤしないように今年分のローン支払い金額はすでに用意して口座にぶちこみ。あとは野となれ山となれ。
ちなみに昨日、東電の検針票が入ってました、導入後一週間の数値ゲット。この一週間の天気は雨も曇も晴れもあった中、買電より売電の方が千円ほど上回っておりました。まずはめでたい、お日様ありがとう。