リツエアクベバ

satomies’s diary

なるほどなあ

♪おしーえて、オニーサン、から、ものすごい迅速に返答が来た。すごいな。夜中の投稿、ありがとうです感謝。

公開質問状が来たんで答えます/NC-15

以下、感想のポイント

  • 脈々と流れる「正義感」
  • 期間限定であるにも関わらず、巡り会う「重要人物」の存在の大きさ
  • 経験からの習得のベースに流れている、根本的な個性である「素直さ」
  • 自己受容、自尊感情の獲得の戦いを進んでいっていること

muffdivingさんの文章からは「悪質」に対してのすごい拒否感を感じるんだよね。「悪質」ということに対しての、決定的な分かれ目ってのはどこになるんだろう、と思った。「悪質は自分を汚すということ」という感覚の取得は、どこが境目になるんだろう。
いつもどこか教科書的になる一冊の本を出してくる。短編集の今回はコレ。以下、簡単なあらすじ。

主人公は5年生の男の子。夏休みに毎晩のように花火をしていた、二年生の妹「洋子」といっしょに。いつも花火をする場所は家の北側の空き地。
花火を始めると、その空き地のそばの中一の「智くん」が見に来た。いつもじっと見ているだけ。智くんは言葉が話せない知的障害児。
ある日の夜、その空き地が火事になった。近所の人が集まってみんなで火を消した。消し終わったときにみんなが気が付いた。空き地には智くんが呆然と立ちつくしていた、花火の燃えかすをもって、そして足下にはライターがあった。
あわててかけつけた智くんのおかあさんをみんなが責めた。特に主人公の男の子の父親が強く責めた。おかあさんは「うちの子はライターは使えない」「誰かがそばにいたんじゃないか」と言い張ったけれど、それは逆に周囲の怒りを買うだけだった。仕事帰りの智くんのお父さんがやってきて、ひたすら周囲に頭を下げた。
夜になると洋子が泣く。コオロギの鳴き声を「智くんが来てる」と言って泣く。これはコオロギだと言っても、次の晩になるとまた「智くんが来てる」と言って泣く。
火事の原因の花火は、洋子だった。洋子がひとりでライターを使って花火をやっていて、智くんが来た。火が草に燃え移った。洋子は逃げた。智くんがその場に残った。これが真相。
父親は動揺する。「今さら火を出したのはウチの子でした、なんて言えるか」「みんなあのちえおくれのせいだと思っているんだからそれでいいじゃないか」
結局、父親は近所の人と智くんのうちに謝りにいく。洋子にも謝りに行かせる。
9月になった。智くんは引っ越していった。主人公と洋子はそれを見送る。
ぼくのお姉さん (偕成社文庫)より「こおろぎ」

わたしはさあ、知的障害児かーちゃんになる前の自分前提で、自分が絶対に洋子にも父親にもならないか、って言ったら自分いったいどうなんだろ、みたいなとこがあるのよね。絶対揺れないか、ってとこ、自分にナイフ突きつけるように突き詰めると、自分どうなんだろ…、と思ってしまう。そういう意味じゃ、わたしはわたしの中に「悪質」を見てしまうんだな。
この状況、muffdivingさんだったら、「悪質」をばしっとはねのけそうな感じがするんだよね。「悪質」に対しての強烈な拒否感を感じるんだよね。
知的障害者ねらい暴行、恐喝」。この見出しで犯罪を報道される13才から16才の「少年」たち。彼らは何を棄てたんだろう、彼らは何をどうやって「取り戻す」んだろう。事件は報道されてもそれは報道されるわけではなく、でも彼らはまた社会に出ていくんだろう。わたしは本当は、この「取り戻していく」報道を知りたいんだろうな。
と、いうことで、muffdivingさんありがとうございました。シリアス内容たくさん含まなきゃ回答できない質問の数々で、失礼ぶっこきまくっての質問だったと思います。でもすごい興味深かった。本当にありがとう。あと、以前のエントリのコメント欄で「保護司になりたい」って書いてあるのが確かあったと、それも掘り出して読んでました。その根底はそうか、ここにあったのか、と。しみじみと感慨だった分、自分の失礼ぶっこきまくりが今目の前にあって、ちょっと赤面です。まあ「鉄板」だけどね。