このニュースの二種の報道の仕方で。Lsty氏の反応が興味深い。特に「他人の不幸は蜜の味」のエントリの方。
えっとですね、このニュース。わたしの感想は、「わからない」です。この二種の報道ではよくわからない。問題としてわかってることはここですね。
- 市教委によると、男性教諭は授業で漢字の誤りなどを繰り返し、間違いを指摘されても修正しないでそのまま授業を進めるなどの問題があったという。また、生徒から「次に何をしてよいか分からない」と問われても「うるさい」などと答えるなど、的確な応対ができていなかったという。(指導力不足教員を免職 大阪市教委、16年以来5人目(産経新聞) - Yahoo!ニュース)
- 生徒や保護者からの訴えが続いたことで、事態を重く見た教育委員会では、昨年1月から1年間、模擬授業を行うなどの校外研修を行った。が、ここでも、助言や指導に対し「言い過ぎだ」「中傷だ」と声を荒らげ、逆ギレ。途中で席を立ったこともあったという。(「地図の上は北で下は南」??あきれた教師、分限免職(スポーツ報知) - Yahoo!ニュース)
それ以外はわからない。わからないポイントなんですが。
- 「学校」に関しての情報が無い。
「養護学校」「特別支援学校」と報道されているが、その学校の生徒の障害種別がわからない。盲・聾・養護学校に関して、2007年4月の学校教育法改正によって「特別支援学校」に一本化されています。そして従来の「養護学校」の枠組みで言えば、知的障害養護と肢体不自由養護と病弱児対象の養護学校がある。どのような状態でのどのような形態でこの「問題となる授業」が展開されていたのか、報道では全くわからない。知的障害養護や肢体不自由養護で通常行われているチームティーチングの機能が果たされず、この教員の独壇場での「問題となる授業」だったのかどうかもわからない。
「曲線」に関してはLsty氏はエントリ中で「音声障害があったのではないか」との仮定を行っているのだけれど。聴覚障害児の特別支援学校においての「口話法を使った聴覚障害者の教師?」という仮定も出すことはできるとも思う。
また「地図の上は北で下は南」という説明に関して。わたしは知的障害養護学校の学校見学時に、この説明、聞いたことはありますよ。高等部で東北に修学旅行に行くのに事前学習をしていて、地図上で確認していた授業でした。知的障害養護学校の東北旅行の事前学習において、この説明は不適切かなあと逆に聞きたいとこもあると思う。
だから学校の情報が全くなく、そして二種の報道でも「養護学校」「特別支援学校」と割れていてまた授業の背景もわからない中で、わからないとしか言いようが無い。小中高といった学部さえもわからない。
そして、そこにいったかと思って首ぶんぶん縦振りだったのはここ。
こういう三流記事独特のバカ晒し的な書き方によって、一番問題になっている部分がかすんでいる、という事にも大いに不快感を抱いた。
全国的に健常者の学校で問題が発生した場合、特別支援学校に異動させる人事が行われる傾向にあるという。
なにが「あるという」だよ馬鹿、そこの裏をちゃんと取れよ。問題の本質に触れようともせず、他人を指さして笑っているスポーツ報知こそがトンデモであり、晒されるべきバカなのだと、僕は思いました。(所詮スポーツ新聞だから(特別支援学校の教諭免職問題) /他人の不幸は蜜の味)
この引用部、伝聞や噂にはよく出ますね。実際こういうタイプに類するだろうという教員が娘の小学校時代に障害児学級の担任チームに入ったことがあり、管理職対応をお願いしたことがあります。まあはっきりとした「事故」を起こしちゃったわけだけれど、その対応に関して嘘だらけだった。日常においても独りよがりな虚言はよくありました。
管理職に「きっちりと指導を」と約束していただいたのだけれど。この問題が露見した翌年度、この教員は通常学級の担任に配置されました。つまりたった一人で担任として学級を運営することになった。障害児学級に配置されていることはそりゃ歓迎はしないけれど、児童数に比較してかなり恵まれた人数の担任チームが構成されていましたので、一人での問題が露見することをチームティーチングで防げる可能性ということもあったとも思う。だから通常学級担任の配置にはかなり驚いたところもありました。ヤバくね?みたいな。
半年もしないうちにこの学級は崩壊状態に。そして担任された児童の保護者の言い分や児童達の言い分にも、やっぱり「あの先生は自分に都合のいい嘘を頻繁につく」ということが大きく出ていた。結局この年度が終わった時点で自己退職となったのだけれど。管理職対応にはずっと疑問は残ってますね。この担任に疑問をもつ以上に、管理職に対しての疑問の方が大きかったと思う。
ただそれはあくまでもひとつの具体例であって。全国の学級数の何パーセントにそういう事例があるのか。それはわからないわけです。だから「あるという」と言われても、「まあ、あるかな」的なとこ程度にしかわたしにはわからない。報道の仕方が噂の伝播にとどまってしまっていると思う。
それと。特別支援教育の現場に配属するならするで、その理由が知りたいと思う。「あっちやっとけ」なのか、複数担任という状況の中で「現場でさらに研修を」という姿勢なのか、とか。こういうことを問題として出してくるなら、このあたりまできちんとつっこんで教育委員会に取材を、という気持ちはあるなあ、とも思う。
またこのニュースの例で言えば、この報道に出てくる教員が特別支援学校配属前に、こうした「研修」を受けなければならなかった経緯があるのかどうかはわかってないわけです。ニュアンスだけにじませている報道は、ヤな感じだなあとも思う。このニュアンスをひっかぶらされる可能性がある多くの教員の方々がお気の毒に思う。
「あると言う」と書くならさ。教員としての指導が別途行われた教員の総数。そしてその教員が特別支援教育に関わっているパーセンテージ。とか。指導前と指導後とか。そういう数字は正直言って「知りたい」とは思います。
それと。そういう数字を調べるときに、特別支援教育の授業研究を活発に行っている教員方の数等も知りたいと思いますね。噂の伝播のような報道で非常に迷惑してらっしゃる方の層が、わたしはとてもお気の毒に思う。