リツエアクベバ

satomies’s diary

トラックバック受信とアレコレ

夫婦の会話 - S嬢 はてな/明日は明日の風が吹く

 そうなんだよね、と思う。関係性の歴史の中でだんだんと線ができていくんだよね、と思う。いっしょに暮らしていく年数も自分たちの状況の時代も関係していくと思う。そして相互の個性と。
 あと、このトラックバック受信で思い出したこと。っていうか、時々ふと思い出すことではあるんだけど。

過程と結果のどちらに価値を求めるか/ロリータハッピーウィングな日々

 結婚前に夫は一級建築士の資格を取った。そして彼の仕事はどんどんハードになっていった。常に終電利用。そしてそういう時代だった。仕事はあふれ、引き抜きの話もたくさんあった。
 その頃、あるひとつのニュースが報道される。夫の帰宅が遅く、会話も無く、相手にされないと、淋しくて死んでしまった妻。踏切に飛び込んだ。住所はけっこう近所。この「夫」はわたしの夫と同い年。そして同様の職種だった。つらかっただろうなあと思ったなあ、逝ってしまった方も残された方も。
 わたしは、といえば。この頃自分が取りたい資格試験のためにお勉強をしていたので、彼の帰宅が遅いということによる残されるつらさはそんなにはなかったのだけれど。それと自分も仕事をしていたので、人との会話を疲労して帰宅してばたばたと眠る準備をする夫に要求しなくてもいい余裕はあったと思う。それよりも眠る時間を確保してあげたかった。
 そして妊娠・出産・育児期がくる。産休に入ったときに、自分にできた仕事以外の時間に呆然とした。そして日常的に人と話す時間も激減した。出産、生まれた赤ん坊の闘病、退院により始まった障害児の育児とその仲間関係。それから次の妊娠と出産。乳児だの幼児だのとのばたばたの生活。
 この時期、夫はテレホンカードを大量に購入したと思う。携帯がまだ一般的ではなかった時代。毎日毎日夕刻6時になると夫から電話が入る。用事は無い。ただ、わたしの、どうでもいい、ただの意味の無いおしゃべりを聞くため。
 これが五年くらいの間、毎日毎日毎日毎日続いた。わたしたちはこの時刻に、恋人同士のやりとりのように10分とかそこらの時間を楽しんでた。わたしたちではなく、わたしだけかもしれないけれど。
 この定期便の電話は、わたしが頼んだわけではなく、ある日突然始まった。そして「もうわたしはだいじょうぶ、ありがとう」と言って、この習慣は終わった。「うん、わかった」と、ちょっと淋しそうに彼が言って、翌日から電話は来なくなった。
 この定期便は、本当に感謝してると思う。過ぎたからこそわかる、本当に貴重な時間だったと思う。その当時よりも過ぎたからこそ価値がわかる。わたしには、わたしが元気でいるためには必要だったんだと思う。なかなかできることではないと思う。いや、わたしが彼の立場だったら、きっとできなかったな。