庭のすみに、小さなすももの木がある。夫が中学生までここの場所に住んでいたときに、よく実をつけていたそうだ。
小さなすもも、さくらんぼより大きく、ヒメリンゴより小さいくらいか。
そして夫の家が少し離れたところに移り、ここの場所は長い間ひとに貸していた。そのすももの木は、いつか枯れたそうだ。
わたしたちがこの場所に家を建てたとき、その木は生きているかどうかあやしいというか。枯れたあとの、そのままにしてあるだけの幹と枝程度だった。
わたしの身長より、はるかに低い。
気がついたら、このすももの木は、新しい枝を伸ばし始めていた。古い家を壊して新しい家を建てた時に、陽当たりとか条件が変わったのかもしれない。
少しずつ、少しずつ、大きくなってきた。
おととしくらいから、実をつけ始めた。わたしと夫は、大事に大事にしていた。
リスが。ぜんぶ、食う。愛しい実たちを。
ホームセンターで売っている、果実用の袋もダメ。去年は不織布でひとつずつ丁寧にくるんだ。気づいたら、全部破かれて持っていかれた。
今年は木が本当に大きく育った。枝を伸ばして、たくさん花をつけた。ぼこぼこと、実をつけた。ほれぼれして、丁寧に育てた。リス避けに、近くに木酢液をたくさんまいた。
気づいたら、たくさんあった実がたった5個になっていた。まだ小さい、まだ青い。でも、今日ぜんぶ収穫した。
「この分だと明日になったら、たぶん一個も無い」「ぜんぶとってしまえ」「家で追熟させよう」と、仕事に行った夫から指示がきた。


いっぱいあったのにな。つくづくリス害。
近隣での被害の話も増えてきた。木があるあたりでは、常にキュッキュッキュッキュッと奴らの声がする。庭木だけではなく、ケーブルをかじったなどという話もある。神奈川県、なんとかしてほしい。