リツエアクベバ

satomies’s diary

運転卒業

昨日、近所を歩いていたら。知っているお宅の塀越しに、そこのご主人がわたしに声をかけてきた。

わたしの耳にはイヤホンが入っていて、音楽が流れていて。単なる挨拶をされたのかと、そのまま会釈をして通り過ぎようとしていた。完全ワイヤレスなので、たぶん塀の向こうのご主人にはそれは見えていない。
ご主人はそのまま、わたしに話し続けた。

「っちまったんだよ」

とだけ聞こえて。いや、奥さん死んだのかと度肝抜かれて、イヤホンをトンと押して音楽を止めた。

車を売ったんだそうだ。そう話しながらわたしを呼び寄せて、車が置いてあったガレージを見せた。今日、引き取りがあったんだそうだ。9年落ちのホンダの車は、買取業者に頼んだら100万の値がついたそうだ。

うちの周りは道が細い箇所がいくつもある。慣れた道ではあるけれど、車を替えてわたしは今慎重に運転している。若い時よりも、思い切りもなく、カンも悪くなっているのは自分で感じてもいる。

「あそこの道が怖くなったら、もうダメだ」と、車を手放すことにしたんだそうだ。
怖くなって、運転が億劫になったらしい。ホンダのセダンに乗っていらした。
コンパクトカーや軽に落とすという考えはなかったもよう。

74歳。
夫は66になった。あと8年かと思う。わたしはあと11年か。
75あたりまでいけるんじゃないかと思っていたのだが、そうでもないのかなとシリアスな気持ちになった。

「先輩、お話をありがとうございました」と言ってお別れする。なるほどな。
安全面に非常に丁寧な車を手に入れて、丁寧に運転をしているが。そうした日はやってくるんだな。

今日、引き取りに来たんだ。
これからは、バスを使うんだ。
買い物用に、リュックでも買うかな。
いや、運んでもらうサービスも、生協もネットスーパーもあるか。

わたしを呼び止めて、たくさんお話をされて。高揚されていたが、それはくる日を迎えた淋しさもあったのかもな。