リツエアクベバ

satomies’s diary

11回目

猫が死んで11回目の水曜日だ。今日も水曜日のネコを飲む。フルーティなこのビールの味が口の中に広がると、条件反射のように猫を思う。

家の中にあった小さい生き物の痕跡が消えていく。それでも時々足元を振り返る。いないけどね、振り返ると心に戻る。

勝手口を施錠して、猫のトイレを置いていた。猫はいなくなり猫のトイレは片付けられて、勝手口は単なる勝手口になり。そこに庭仕事用の黒い長靴を置いた。
近くに置いたプラごみの袋にゴミを入れるために近づくと、暗闇に黒い長靴が見える。それが。いつもいつもいつもいつも、黒い猫が座っているように見える。
そうしてわたしはその度に、黒い長靴に手を振る。そんな自分に小さく笑う。