リツエアクベバ

satomies’s diary

実習反省会

今日で娘の実習は終了。終了後、反省会。学校から担任の先生と進路専任の先生、そして娘とわたし。先方からは実習担当の職員さんと、実際に指導にあたってくださった職員さん。
まず職員さんから娘本人に感想を聞く。感想らしい感想はたいして述べられないけれど、「まず本人」というのがこの事業所の姿勢として徹底されているのだなあとも思う。実際に指導にあたってくださった職員さんからは実習の様子、持っている能力と伸ばせると思われる可能性、今後の課題など。それに対して先生からもろもろ、保護者としてのわたしからもろもろ。
さて、という感じで進路専任の先生が力入った感じで切り出す。「保護者はこちらを第一希望として切望されています」。それから、ほら言って、という感じでわたしに発言を振ってくる。で、まあ、話し始めたんだけど。まいったね、オイラ、なんか胸がいっぱいになって、ちょび泣きそうになっちまったよ。

発端は新聞の折り込みに入ってきたパートの求人広告だったこと。知的障害者の働く場としてのパン屋がオープンする、そのパート募集。興味をもって履歴書を送付し、面接に出かけたこと。面接してくださった責任者の方が二名とも、とても興味深い構想を話してくださったこと。そのお話がいきいきとしていて力強く、また、新たにパン屋オープンのために建てられた建物が、知的障害者の働くパン屋として、あらゆる面に関して細かく「売り」や「支援」に満ち満ちていたこと。若干名の募集に20名の応募。「休まない人で近い人優遇になること」が面接でわかり、面接時点で厳しいということがわかったこと。それでも実際にこのパン屋を立ち上げる方々の思いが面接という場でよくわかり、とてもワクワクしながらお話を聞いていたこと、質問もいっぱいさせていただいたこと。
帰宅してからこのパン屋の母体の法人を調べまくったこと。いろいろなことがよくわかったこと。そしてこのパン屋の母体が持っている作業所棟に見学に行ったこと。「働く場であること」を利用者さんに意識化させていく工夫がたくさんあったこと。利益が出る事業展開をたくさん考えているところだということがわかったこと。利用者さんが穏やかで、また、そこが人気施設であり、利用はとても難しい場所であることを知ったこと。実習に入るのも市内の希望者抽選があることがわかったこと。
イベントにも出かけたこと。この事業所が主催する「親子パンづくり教室」の企画にも参加し、小学生の親子といっしょに娘とパンを作ったこと。その時にできあがったパンを写真に撮って、大切にしていること。その時にいただいた麦の穂を、大切に飾っていること。
あの、新聞の折り込みを見つけた日から、もう数年が経ったこと。あの日、あの新しいパン屋のもうすぐオープンする店の一角で、いろいろなお話を聞いた。その日から、もう数年が経ったこと。娘が、あの新しいパン屋の母体となっている事業所の作業棟で高等部での現場実習を行うことができたこと。そしてその実習が今日、無事に終わること。娘に収穫が残っていること。ここまで来たんだなあと、わたし、感無量です。

新卒の希望は厳しい。それは何よりも進路専任の先生たちがよくわかっている。それでも「可能性は?可能性は?」と聞いてくださる。とてもとてもありがたかった。
でもわたしも現実は知っているよ。今日はとにかく、ここまで来られただけで胸がいっぱい。