リツエアクベバ

satomies’s diary

実習開始

娘高三で、いよいよ本格的実習開始。高二のときの職場実習より緊張するのは、実際に卒業後の進路先決定に関わってくるからだと思う。
実習先を決定する前に、まあいろんなとこ見学に行ったんだけれど。選ぶというのは難しい。親が選ぶ線の選択肢の中で、もしかしたら本人が選ぶ線での選択肢を勝手に除外してるんじゃないかとか、そのあたりがすごく「くる」。
そもそも親なんてものは、子どもによかれと思って子ども本人が自分で選ぼうとしてるものをその視界からわざわざ抜いちゃうようなことをするイキモノだ。ましてや子どもに知的な障害があったりしたら、「ソレ違うもん」的なことを言われることを避けることだって簡単なことだ、見せなきゃいいんだから。そういう親が「よかれと思ってズル」みたいなことを、普通の知的レベルの子どもは難なくすり抜ける。そのハンディを考えなきゃいけないんじゃないか、みたいなことも思う。
今週から実習を開始した場所は。娘本人がよく知ってるとこ。わたしも娘もそこの利用者さんに知人友人がいるとこ。でもね。その利用者さんたちと話してるとよくわかる。ここは娘にはレベルが高い。だから最初っから選択の線に入れてなかった。もうぜっんぜん、入れてなかった。
でも。結局そのことが心残りになった。高三での実習先をそろそろ決定しなきゃならない「高二の2月」に、「やっぱり…」と思って娘を連れて見学に行った。レベルは高いよなと実感しながらも、結局実習先に選択させてもらった。本人の選択肢の中に入れてやりたかった。NOを言うのは本人であるべきで、そのためには見せなきゃならないし、経験させなきゃならないんだよな、とも思った。「よく知ってるけど、アタシが行かないとこ」って判断するのは本人であるべきかな、と思ったから。
朝、送っていってやって。実習終了時刻に間に合うように迎えに行った。迎えに行く途中で利用者さんの一人に会った。病院に行くから早退したという話。「ちぃちゃん、今日がんばってたよ〜」と言われて、見守ってくれる人の多さに胸がいっぱい。
現場に到着、実習途中から見学に入った担任の先生に会う。第一声は「がんばってましたよ」。
その上で、職員の方に言われたということを聞く。そこの利用者さんの知的レベルは娘よりずっと高い。中度、重度の方が二年かけてこの状態の商品を作れるようになったのだと。そこで最重度の娘が娘自身で「自分はこれができるようになりたい」と、自分で目標立てて、自分が取り組んでいくことを楽しいと思えるかどうか。その「芽」のような部分を実習中に現場側が見つけられればというような話だったと。観点がはっきりしててありがたいと思う。
帰路、駅の階段を下りながら娘が言う「たのしかったねー」。そうか、楽しかったのか。と思いながら、そうか、アンタはまだまだ伸びたいのか、とも思う。
自宅から最寄り駅までの徒歩の道は、いろいろルートがある。中一から今まで電車通学をする中で、しっかり覚え込んでいる道とは違う道を本人が選択する。そうか、アンタはまだまだ伸びたいのか、とも思う。
去年、高三のかーちゃんに話を聞いてた時に「卒業は淋しいか」と聞いて返ってきた言葉を思い出す。「早く新しい生活を始めさせてやりたくなる」「学校という意識が強いのは高二まで。高三は卒業後の新しい生活のシュミレーション シミュレーションが始まる学年」。なんか改めて、そうか、と思う。
この一週間が終わったら、わたしは、そして娘は何を思っているんだろう。まだまだひとつめの実習開始一日目。先は長い。