リツエアクベバ

satomies’s diary

23回目

猫が死んで23回目の水曜日。今日も水曜日のネコを飲む。

写真を見ていると、顎を思い出す。鳴らす喉、手にのせてくる顎。もうさわれないけど、まだちゃんと知ってるなあと思う。

スマホのロック画面が猫の顔のアップなんだけど。写真を見るときに顎ばっかり見てる自分に気づく。

ゴッホ展

go-go-gogh.jp

上野の森美術館ゴッホ展を見に行く。

11時過ぎに到着。平日の午前中だというのに場内は人でいっぱい。一枚の絵に人が三重くらい。側で見るために前の列に並び、遠くから見るために少し離れたり。

弟に送った手紙の文面の抜粋を紹介しながら、ゴッホの人生をたどっていく構成。ゴッホ作品だけではなく、影響を受けた画家、関わりのあった画家の作品も展示。

少しずつゴッホの絵が変化していくのがわかる構成。また、ゴッホがどう見ていたかという視点で見る他の画家たちの作品、という味わい。

ゴッホが死んでも作品で会えると、ゴーギャンゴッホの弟に言ったそうだ。そんなことをゴッホの絵の前で。糸杉のオーラはすごかった。また、混んでいるので「糸杉の絵に圧倒される人々」も鑑賞の中に。

昨夜、ゴッホ展に行く夢を見ていた。ショップでグッズが買えないと、ジタバタする夢だった。

現実は。ちゃんと買いたいもの買えてごきげん。

bijutsutecho.com

喪中ハガキ

喪中ハガキが送られてくる季節になった。いつの頃かとても多くなり、いつの頃かめっきり少なくなった。今年は今のところ二通。わたしや夫の世代ではもう親を送り終わった人が多くなってきている。

今年の二通は同じことが起きている。ご両親共に今年ご逝去で、ご命日の日が二週間くらいの差。一通は亡くなられた頃、電話で直接その話を聞いた。ご両親のお一人がご病気で入院、意識が無いままの日々が続く。入院されたのはもう何年か前になる。そしてもうお一人の親御さんがご病気になり亡くなられた。その葬儀を終えてしばらくすると、意識が無かった方の親御さんがすうっと亡くなられたとのこと。その友人と言った「あの人のおうちと同じことが起きたね」。共通の友人の同様の話を以前一緒に聞いたことがあった。

二通の喪中ハガキを眺めながら。今年のもう一通はどんなことが起きたんだろうと思う。なにかが繋がっているご夫婦というものがあるんだなと思う。

ハンバーグ

今日はハンバーグだよ!と、娘に言う。ハンバーグは日中成形しておく。タマネギを荒く切って、パン粉を牛乳で湿らせて、スパイスや胡椒を用意して、挽肉を冷蔵庫から出して室温にする。

テレビをつけて、録画してある番組を漁る。ああこれを観てないんだった、金曜ロードショー未来のミライ」。ハンバーグ作るのにあれやこれややるのはテレビ見ながらやろうと思って。

ギーコギーコとぶんぶんチョッパー動かしてタマネギのみじん切りを作る。ギーコギーコ、ぶんぶん。CMの時に電子レンジに入れに行く。
挽肉を1キロ。ハンバーグ作る時はまとめて作る。大きなボウルに入れて大きめの木ベラで捏ねる。ひたすら捏ねる。捏ねる、捏ねる。

未来のミライ」、なんで主人公の声はふつうのねーさんなんだろう。わたしは変な抑揚の上下が頻繁になるいわゆる「声優芝居」が大嫌い。だからこういう「ふつうの話し方」は歓迎派なんだけれど。いや、なんでねえさんなんだろう。これだったら神木君のほうがよくね?とか。女の人が少年やるのって、よほどのことがなければ嘘くさいことハンパない。これはあれだ、幼児期ってたいがいにおいて男の子と女の子って「違うイキモノ」としか思えないほど、なんか頭も体も動き方が違う。女の人が男の子って、何かを大きく飛び越えなきゃ行けない。作り手はこの女の子が越えられると思ったんだろうか。

まあな、「好きくない」とかいう言葉を使うくらいだからね。この映画、とにかくぬるい。大っ嫌いとか直球投げちゃなんでいけなかったんだろう。赤ちゃん返りもぬるいわ。

塩コショウをした挽肉を捏ねる捏ねる捏ねる。スパイスを加える。テレビを見ながら捏ねる捏ねる捏ねる。
電子レンジの挽肉の粗熱が取れたので挽肉にタマネギをぶち込む。捏ねる捏ねる捏ねる捏ねる。思いつきで塩麹を加える。

CM中に成形する準備をする。テレビを見ながら肉を手に取ってペタペタと空気を抜いていく。ふうむ。そういう展開になるのか、ふうん。引き込まれるというよりは、相手の計算の答え合わせをしていく感じ。

全部成形し終わって。トレイに並べて冷蔵庫に入れる準備をする。冷やして程よく固まってから夕食に焼く。
あれ?パン粉入れるの忘れた!もういいや、パン粉。おせーわ!

夕食に焼いたハンバーグ、美味かったぜ。よく捏ねればパン粉無くていいらしい。そりゃよく捏ねましたよ。映画、いろいろ不満だったのでね。

母校

娘が中高6年間通った特別支援学校の学校祭に行った。

学校までの通学ルートの坂道を、娘がシャキシャキ歩く。横断歩道をしっかり渡る。娘が育った時間と「道」を思い出して懐かしくなる。校門のところで同級生親子に再会。

学校に入って受付。記名欄に娘が誇らしげに自分の名前を書く。

構内展示作品を見ながら、作品を生み出す土壌を作る教員の工夫を感じたり。集団で作る切り絵が素晴らしかった。

各作業班での販売。生徒さんたちが「いらっしゃいませ」と声を張り上げる。各作業班でいろいろ買い物。
「ちぃちゃん、どれが欲しい?」
娘が決め、娘がお金を生徒さんに渡して生徒さんから娘におつりが渡される。それだけのことなんだけど、双方が社会を学習。

手芸班でさをり織りのシュシュとミシン縫いの巾着袋を買う。プリント班でステンシルのTシャツを買う。農園芸班でハイドロカルチャーを買い、陶芸班で小皿を買う。工芸班で革の小銭入れ。木工は買わなかったなあ。

保護者が運営のコーナーで、魚釣りとボウリングのゲームをして、バザーで小物を買う。出店の作業所のお菓子を買っておかあさんはゴキゲン。

卒業して10年。普通は知ってる教員などいないはず。ところがどっこい、あちこちにいる。かつての教員が管理職で迎えてくれたり、再異動で戻ってきていたり。定年退職後の再任用とか。

ダウン症の赤ちゃんのママのフォローを長年やってきたご褒美のように、会場のあちこちで若いママたちに声をかけてもらえる。

「生まれた赤ちゃんがダウン症であることが受け入れられない」と、電話口で泣いていたママがいた。うんうんと気持ちをそのまま聞いていたら、電話の向こうで豆腐屋の笛の音が聞こえて。そうしたらそのママが突然「ちょっと待ってくださいね」と言ってから、赤ちゃんのパパに叫んだ「お豆腐買ってきて!」。
なんかもう笑っちゃって笑っちゃって。わたしが笑って、ママも笑った。そのお豆腐やさん、とても美味しいんだそうだ。そして数ヶ月後にそのママが「赤ちゃんがかわいくてたまらない」。まあダウン症あるあるなこと。

その赤ちゃん、もう高1だそうだ。16年も経ったのだなぁとしみじみ。

先生にも、同級生親子にも、馴染みの他学年卒業生にも会えて、楽しい一日でございました。
校長に会えなかったから、近いうちにお手紙出しておこうかなと思う。

病院

今日は娘の病院。年一回のダウン症健診。病院行って診察の手続きしたら、予約した医師と違う名前の医師の診察になってた。あれ?と思い、スマホで病院情報を検索。予約した医師の診察スケジュールが変わってた。待ってる間に今日の医師の情報を検索。難病の論文くらいしか出てこない。

いつもの医師は親分的立場と年齢。今日の医師は若かった。30代かな。丁寧によく話を聞いてくれて感じがよかった。

来年の予定を、と。スケジュールが変わったけど元の医師での予約がいいか聞いてくる。あのドクターは忙しいのだがと言いながら。

金曜日の午後はあなたなのかと尋ねると、そうだと答える。では金曜日の午後に、と来年の予約を入れる。役所の書類の主治医の欄の名前を代えてもいいのかなと思う。

以前の親分的医師には非常にお世話になった。町医者では手に余る状態の体調に、丁寧に対処していただいたことがあった。循環器科の医師がリスペクトしていた。
でも、今のうちの娘は状態は悪くない。親分は親分を必要としている人に時間を使って欲しい。

採血を3年やってないから調べたい、と、今日の医師は言う。甲状腺の検査を定期的にやっていて、そういえば今年は採血の年だったように思うが予約時に採血のオーダーは入ってなかった。調子が悪くなかったからかな。でも、それでは今日お願いしますと答える。

今日は娘に採血があると言わなかった。怖がるだろうかと思いながら医師の前で「ちぃちゃん、今日これからお注射だ」と言う。医師の前で張り切った声で娘が返事をする。「大丈夫そうですね」と医師が言う。いやこれ、けっこうなハッタリだと母は思う。

甲状腺を調べるのだけれど。内分泌系の検査のオーダーを出す。何かあったら内分泌系に回すと医師が言う。せっかく血をとるなら検査網羅はありがたいなと思う。

検査室に行き。怖がるからそばにいると看護師さんに言う。誰が怖がっているのか?と思われるほど娘は張り切った声を出す。母は心配だけれど、弱虫なので採血自体を直視できない。

娘がおおっ!と声を上げる。採血見られないのに娘の声で思わず見る。いや、採ってる血の量、多いわ!と思う。
もう。がんばったので今日はご褒美に回転寿し。

ゴッホの映画

昨日、ゴッホの映画を観てきた。午前中のパートを終え速攻で桜木町へ行き、上映後また速攻で帰った。文字通り映画のための外出。

ゴッホの絵が好きだ。夜のカフェテラスとか星月夜とかの有名どころも好きだけれど、ひまわりじゃない花の絵も好きだ。何がどうとかわからない。独特の黄色っぽい感じも好きだ。
lPhoneは猫の顔の写真で開き、自然の中の猫の写真を見ながらアプリを開く。iPadゴッホの絵で開き、ゴッホの絵の上でアプリを操作する。電子書籍で画集を買ったからいろいろ替えられる。

昨日の水曜は動けそうだったから行こうと思った。たぶんこの日以外無理だと思った。上映館も少ない。封切り第1週目じゃないと上映時間も限られてくるだろうと思って急いだ。

神奈川での上映館は6箇所しかなかった。13時40分からの上映回を11時頃にネットで席を抑えた。このタイミングで席の半分は埋まってた。桜木町にある横浜ブルク13というシネコンで一番小さいシアターで、座席数は87しかない。入ってみて驚いたが満席だった。平日真昼間の上映回で両隣にきっちり人が座っているのは、初めての経験だった。レディースデーだからか?いや男性もいっぱいいたし。ああシニア料金だとレディースデーは関係ないのか。単独の客も多かった。

映画を観るときはたいがい一人で行く。ポップコーンのカップを抱えながら観るのもいつものことなんだけれど。単独大真面目みたいな人が両隣にきっちり座っていて、ポップコーン食べるのが不謹慎みたいでそうっとそうっと食べた。

ピアノの音楽がなり続け、セリフも無い、ゴッホと自然だけの映像のシーンが冒頭に多く。右のほうからオヤジのイビキが聞こえてきてうるさかった。うるさかったけど、少し理解できる。カメラワークが酔いそうになるし、集中力が欠けると一気に眠くなりそうではあった。要するに、ゴッホが好きじゃないと厳しいと思う。あのイビキの人がどうなのかはわからないけど。

「人生は種蒔き」「収穫期ではない」「生まれてくるのが早かったのか」
後半でゴッホがこうした話をするシーンではらはらと涙が溢れ、そんな自分に少し驚いた。「あなたの絵は不愉快だ」「あなたの絵は醜い」こんな言葉の中でひたすらひたすら絵を描き続けて。死んでからの展開は本人にはわからない。でも、本人自身が肯定できていた部分もあったのかもしれない、という視点にわたしが助けられたような気がした。

しかしなんだな、と思う。両隣きっちりとで、なんか泣いたのバレたくないわな。

自然の風景が、という話だったから映画館で見なくちゃと思ったけれど。あとでまたDVDでゆっくり観たい。予想通り、来週は桜木町の映画館では日中の上映は無し。急いで行ってよかった。

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