リツエアクベバ

satomies’s diary

木曜日、金曜日


木曜日(6月13日)

亡骸をタオルにくるんで箱に入れ、花を飾る。庭の柏葉アジサイが狂い咲きしているので山ほど入れられる。白い花が美しい。

義妹にLINEで知らせる。花を摘んで駆けつける。

8時45分、斎場の電話受付開始時刻。全く電話がつながらない。人間もペットも同じ代表番号にかける。昨日が友引で斎場は休み。予測はしていたがここまでとは。
9時半近くに電話がつながる。翌日の12時の予約が取れる、公営斎場ペットの個別火葬。立会い、お骨拾いありのコース。

火葬まで一日あくので保冷剤をお腹あたりにおく。

病院に電話。終わったこととお世話になったお礼。休診日なので留守電メッセージを考えて電話したのだが、一発で出られてこっちが驚く。

義妹からLINE。線香いるか、線香立ているか、持っていこうか?
いらないと答える。部屋の中にまだ猫のにおいが残る。線香はいやだ。

気温が上がるという予報だったので冷房を入れる。保冷剤をとりかえたり。生協が来る日だったので、ドライアイスを分けてもらったり。

アレクサに静かな洋楽を頼んで黙々と片付け。排泄に苦しんでいたのでトイレが3つ。全て片付ける。給餌の道具もどんどん捨てる。気持ちが捨てることを認められないものを残す。

金曜日(6月14日)

ドライアイスを取り出し、花を入れ替える。白い柏葉アジサイ。青いアジサイ。顔の近くにキャットニップ。なにがうまいんだが、すぐ食っちまおうとするわたしが好きな斑入りのブルーデージー。鮮やかな色で咲くゼラニウム。猫の好きだった庭の花。
全て入れてから昨日義妹が持ってきた花だけまた入れる。

病院によってから斎場。
医師、どんな風に死んだかとかなにも聞かない。抱いて送ることができたことを喜び、「ぷっちゃん、がんばったね」と亡骸の顔を優しく撫でる。
「お役に立てませんで」とわたしに言う。いいえ、よくしてくださいました、わたしの心にも、と答える。

斎場で、「最後のお別れを」と言われて泣く。さよなら、黒い毛の身体。
待ってる間、老猫についての本を読む。最期についての章。
ふと思う。こうやって焼いてる間、ふつう人は飲んだり食べたり喋ったりするんだよな。

呼ばれて骨を拾う。骨って真っ白ね。
骨壷を助手席に乗せ、シートベルトをする。帰ろうね。

帰宅していつもいた椅子に居場所を作る。古いiPadで遺影のスライドショーを簡易で作り、amazonデジタルフォトフレームを発注する。

誰もいない部屋で名前を呼び続ける。慟哭。こんなに大声で泣くのかと、自分に驚く。
「どうこく」って言葉、書けないが意味をよく知っていることがよくわかる。