リツエアクベバ

satomies’s diary

白雪姫

棺の中に好きなもの、贈られたもの、など入れて。それから花だらけになって舅が旅立った。白雪姫。

昔、息子が幼児だった頃。幼稚園の同じクラスの男の子が亡くなった。入園式のときにひときわ目立つ小さな小さな男の子だった。夏のプールの時に(そうか)と思った。心臓の手術を受けた胸だった。胸の骨がぼこっとしてる胸。娘は一度の手術で健康を手に入れたけれど、この男の子は何回もの手術が必要だった。そして年長の時に亡くなった。

同じクラスの子は葬儀に、ということで列席した。「おかあさん、白雪姫みたいだね」「そうだね、白雪姫みたいだね。でも白雪姫は王子様のキスで生き返るけれど、あの子はもう目はさめないんだよ」。そうやって息子は死というものを知ったんだ。

子どもがいう話のなんかお手本のようなこの会話。わたしはいわゆる「最後のお別れ」の時にいつも思い出す。「それでは最後のお別れです、お花をお入れください」。ああ、白雪姫みたいだ。でももう目は覚さない。

いろいろなものを入れて持たせる。葬儀に来られなかった義妹が父親に贈ったカーディガンを、広げて眠る舅にかけた。ラコステの立派なもの、上質のウールで暖かそうだった。死んでしまってからドライアイス漬けになって、ずっと冷房をかけた部屋にいた。舅はずっと冷たくて寒かった。「寒かったでしょう?」と言ってカーディガンをかけた、暖かそうだった。

骨になっちゃったよ。大正の最後生まれの舅は、その世代の人としてはとても背が高く180超え男性だった。要介護になってみるみる痩せていき、本当に骨と皮ばかりになってしまったが。骨になったらやっぱり背が高い人だった。足の骨は立派で長かった。喉仏はとてもきれいで、本当に仏様みたいだった。