リツエアクベバ

satomies’s diary

鳩が死んでた

一昨日のこと。パートから帰ってきて、外に置いてある植木鉢の様子を見ていた。鉢と鉢の間になんだか黒っぽいものがあった。道を通る人で時々ゴミを投げ捨てていく人がいる。ひどい人になると植え込みの陰から庭に向かって缶やらゴミやら投げ込む。鉢と鉢の間にあるなんだか黒っぽいものを見て、またコンビニ食品のカラとか投げ捨てた人がいたんだと思った。
しょうがないなあとかがみこんで拾い上げようと手を出して近づいたら、ゴミだと思ったものと目が合った。
目が合った、と思っただけで、正確には、その、ゴミだと思ったものに目があったんだ。うぎゃあとかなんとか、変な声を出して飛びのいた。飛びのいてから、やっぱりなんとかしなきゃならんから、勇気を出しておそるおそる近づいてよく見た。
鳩だった。死んでた。いつ死んだんだろう。前日は冷たい雨だった。雨が降っていたから鉢の様子は見なかった。
よく見てからやっぱりまた飛びのいて、それからどうしようか考えた。どこかに埋めるのか、シャベルとかもってくるのか、どこか掘るのか、でもどうすればいいんだろう。ああそうだ。役所にそんな窓口があったような気がする。深呼吸して家に入って、google先生に聞いてみた。「横浜市 動物の死骸」。資源循環局というところに電話しろという。電話してみた。横浜市の委託業者が引取にいくという。連絡先は聞くが、基本的に業者が何も告げずに引き取っていくという段取りになっているんだそうだ。役所の人は、なんだかとても優しい口調で説明してくれた。死骸を見つけて連絡するということは、そういう口調で説明してくれる段取りになっているんだろうか。なんだかそう思えるような優しい話し方をしてくれるおじさんだった。こっちは鳩の死体を見つけたおばさんだが、それでもおじさんの優しい口調はなんだかとても暖かかった。
電話を切って、これで終わりなのかと思った。これで終わりなんだろう。鳩は業者の人がもっていくんだろう。だけどなんだか落ち着かなかった。線香をもってきて、鳩にあげることにした。線香をあげようと思って鳩のところにいくと、さっきと違って鳩を見るのが怖くなくなった。よく見たら、まわりに羽根がたくさん散らばっていた。鳩はうずくまってた。投げ捨てられたのではなく、逃げ込んでうずくまって、死んだようだった。横腹にえぐられたような穴があり、そこから出ただろう血が固まってた。怖かっただろう、痛かっただろう、と思った。線香をあげた。香がつきそうな頃、また外に出て線香をあげた。
夕方、外で車の音がした。あ、もしかして、と思って出てみたら、もう誰もいなかった。鳩もいなかった。鳩がいたところに燃え尽きた線香の灰が残ってた。さよなら。