リツエアクベバ

satomies’s diary

「ダウン症の子をもって」

娘が生まれて、まだ入院している頃に。図書館でこの本を借りて読んだ。ダウン症の子育てはおそろしく大変そうで、これはこの子が特別なんだと思うことにした。

その頃、親の手記本は少なかった。この著者は大学教授で他にもたくさんの書籍を出していることが関係しているのか。それとも手記本が少なかったからか、この本は売れた。文庫本にもなった。それで、当時の親が手に取る機会も多かったのかもしれない。
1983年の初版。わたしは図書館で借りたのだが、娘が生まれた1991年の頃、本屋でもふつうにこの本は並んでいた。

仲間内、特にうちよりあとでダウン症の子どもを産んだひとで「あの本を読んで暗くなった」というひとの話をけっこう聞いた。
わたしは「小さい子の親が読んではいけない書籍」と、この本のことを説明した。

娘が大きくなる中で、時々この書籍の中のいろいろな部分を思い出した。
少し前に、わたしはこの記憶をきちんと再認したくて、この本を古書で発注した。そしてそのままになっていた。

「蔵書を読もうキャンペーン」を開始して、この本を手にとった。著者は父と同じ歳で、この書籍に出てくるダウン症の方はわたしと同世代だった。
そして、書かれていることに今「わかる」感があり。簡単にさらさらと読めなくなった。
当時よりも、わたしがダウン症について知識が増えたこともある。また、そこでなにを「親が」思うのかも、子どもが赤ん坊の頃よりわたしはずっとたくさん知っているのだとも思った。

ゆっくりと、これから少しずつ読む。
ちなみに購入は、文庫本ではなく単行本。初版が1983年なのだが、わたしが購入した古書は26刷。売れたんだなあ。