リツエアクベバ

satomies’s diary

台所の財産と、昔話

結婚してまだ間もない頃、小田急線の経堂駅近くに住んでた。ある日、駅からの帰路に小洒落た料理店ができた。南欧料理ちっくなビストロ?ダイニングバー?そんな感じ。中は黒を基調とした木の感じの長いカウンター席があって、シェフと話しながら飲めるようなお店だった。

新しいお店だったんだけれど、このシェフをわたしたち夫婦は知ってた。下北沢で同じようなお店があって、時々行ってた。そこの厨房にいた人だった。そこも厨房がよく見える店だった。

結婚したばかりのわたしは、お酒を飲みながら、お料理をつまみながら、このシェフにお料理のいろいろを教えてもらったりした。

「ピーラーはね、下北沢の忠実屋に売ってるやつがいいよ。なんてこともない、特に別のものと違うようには見えないんだけどね。でも、いいよ」

はーい、と素直に答え、わたしはそれを買った。下北沢の忠実屋というスーパーで。もう30年も前のこと。

昨日ホームセンターに行く用事があって。セラミックのピーラーが安かったので買った。使ってみた。でもやっぱりこの古いやつにかなわなかった。壊れるものでもないけれど、これ以上のものに出会っておかなきゃ不安って感じ、どこかでいつもある。すでに負けちゃったピーラーがあり、うちのピーラーは3つになっちゃった。でも古参親分が一番なんだよね。

この古参親分。君はいったいナニモノなんだ?ひっくり返してよく見てみた。

「サンクラフト」へー。
「サンクラフト ピーラー」でググるとざくざく出る。
Amazonのレビューには、前モデルとしてうちと同じのの写真まであった。「ブロッコリー」さんのレビュー。

www.amazon.co.jp


キミってなんかすごかったのね。これダメになったらキミの後輩を買えばいいのね。

ちなみにその経堂のお店のオープン記念品は、うちで現役。洗面所の小物置きとして生きている。これは元々「灰皿」だった、そのお店では。石鹸より小ぶりなサイズの陶器。

このお店は今はない。元々不動産の事情とかで、限定3年だとかそんなことをお店の人が言ってた。次の用途が決まっている土地で、ただそれまでに数年あるので短期間だけ開業するとか、そんな話だった。

「下北沢の同じようなお店」。何十年ぶりに思い出した。ジャックポット。美味しかった。ソーセージとか。あと「森のキノコのなんとかかんとか」とかいうのをいつも頼んでた。いろんなキノコを小さいポットに入れてチーズソースでオーブン焼きするヤツ。美味しかったな。店の前に食材がいい感じで山積みされてたり。若い子がたくさん出入りしてた。

www.jack-pot.co.jp

food-stadium.com

インターネット、楽しいね。記憶の糸口からするすると「現在」が顔を出す。お店の感じや経営は変化していたけれど、存在し続けて大きくなってた。ちょっと感動。(下北沢忠実屋は、今はユニクロとかダイソーとか入った店舗ビル)。