リツエアクベバ

satomies’s diary

その後

2011年10月4日更新分「ご無沙汰」
ダウン症者の成人期の心理的問題というものが起きる可能性の話は、ダウン症の子どもをもつ親にとっては「将来の不安」として常にちらちらと出てくるもので。毛が薄くなっている部分を見つけたときは、なんか足元がぐらんぐらんするほど(うわ〜〜)と不安で動揺したけれど。今はかーちゃんもなんかこう、腹が据わった。

その後、でございますが。
ウチのお嬢さんが月に一度参加する余暇支援事業で、20代後半のダウン症者青年のお母様二名に会う機会がございまして。9月は体調不良でお休み。10月の時に「実は…」と、娘の毛が薄くなった場所をお見せするとお二人とも「あら…」「ちぃちゃん、来たわね…」と。
「来た」というのは要するに、ダウン症者の成人期に起きてくる問題の時期が「来た」と。そしてその傾向がうちの娘にも「来た」と。そういう意味の「来た」。「ちぃちゃん、来たわね…」「はい…」で通じる会話ではあった。「早いような気がするけど…」「わたしもそう思います…」てな会話でした。
そして。ジャンジャカジャーン、11月は。
「ちぃちゃんは精神的成長が早かったけどねえ、今回も早く来て早く抜けたわねえええ」
はい! 抜けました! 今回は抜けたのは「毛」じゃない。時期をくぐり抜けたと、そういうこと。と、堂々と公言できるほど、終わった。そうそうそうそうそう、この人ってこんな感じよねえ、というほど好調になり、そして「抜けた部分の毛も生えてきました!!!」。現在、抜けていたというより「なんでそこだけ短く切っちゃったの? まあ伸びてきてるからいいけれど」っていう感じになった。要は、特に隠さなくても抜けてたようにはまるで見えない。
医師の話では。ダウン症ということでかかっている遺伝科の医師は「8月か9月頃にストレスフルなことがあったのだろう。一人で頑張って黙って耐えようとすることはダウン症者には見られること。また、事後に症状が出ることはダウン症者に見られること。診察室に入る時の普通の表情からも、本人自身により解決したことはうかがえる」との見解。
実に不思議なのは循環器科の医師の話から聞く、娘の心臓の状態。
遺伝科の医師が不調を判断してあらゆる検査を実施の時に、心臓のレントゲン検査も実施。この日のレントゲン写真には心臓肥大があった。遺伝科の医師が少なくとも体調不良にはこの心臓肥大の関連があると判断して循環器科の受診を指示。循環器科は激混みだったので、最短で一ヶ月後の予約しか取れなかった。
そして一ヶ月後。娘の状況が改善したよね?と、作業所職員の方々と堂々同意し始めた頃に循環器科受診。一ヶ月しか経ってなかったけれど、循環器科の医師の指示により再度レントゲン撮影。そして説明。
9月のレントゲン写真は明らかに心臓肥大。「この時期、むくんでませんでしたか? ぐったりしてませんでしたか?」と何度も聞かれる。「心配になる程度にぐったりはしていたが、疲れ気味程度で普通に生活は送れる程度であったし、むくんでいる等のことは無かった」と答えるも、とにかく何度も「いや、むくんでませんでしたか?むくんでたでしょう?」と、わたしが気づいていなかっただけのように押してくる。「複数の目で慎重に見ている時期です。わたしが気づいていなかっただけということはありえません」ときっぱりお返事すると、ううむと考え込まれる。
とにかく、9月のレントゲン写真の心臓肥大はけっこう大変なレベルだったらしい。しかし10月のレントゲン写真は何の問題も無い程度に回復してるんだそうだ。
「髪の毛のあたりは心理的問題ということで片付けられるが、心臓はストレスでこんな風になったり治ったりというものではない」
「心臓の手術をしているお子さんではあるが、術後経過がずっと順調で術後20年も経過して突然この状態になるのは関連性を考えられず、新たに心筋炎にかかったとしか考えられない」
「ウィルス性の心筋炎というものはあるが、ほっといてこんなに簡単に治るものじゃない」
けっこう謎みたいですが、「とにかく娘には心身共になんか起きていて、それはけっこうヤバかったみたいだけれど、もう治っちゃったもーん」という状況のようです。
「ちぃちゃんは精神的成長が早かったけどねえ、今回も早く来て早く抜けたわねえええ」
これはわたしも実感。知的能力の発達は遅く知的障害のレベルとしてはずっと重いという線を歩んできたが、自我の芽生えも独立心も思春期も自立心も、精神的な成長という面ではごく普通の成長をたどる子どもと全く変わらない時期にやってきたと思う。いやのんびりしたタイプの子よりよほど早かったと思う。今回も早かったなあ。早かっただけにまた同様のことが起きるかもしれない。でもかーちゃんはもう腹が座った。とにかく体調チェックと対処は早めに走ることが吉ということを学習した今回の一連の流れでした。