子どもの時に聞いた話。
ある男性が、交通事故で死んでしまった。
職場からの帰路、後ろからきた車に轢かれて亡くなった。ひき逃げだった。
捕まった運転手は19歳の若者で、任意保険は未加入だった。
男性には、妻と幼児の息子がいた。
それから50余年が過ぎた。今日わたしは、この事故の「妻」の方とお会いした。
まあつまり、父の郷里の方。
わたしね、子どもの時は言葉の意味だけしかわからなかったんだと思う。
わたしね、大人になっていく中であのお話の本当の「意味」がとてもよくわかってきた気がするの。
そう話すわたしの手を握り、微笑みながらわたしのことをまっすぐ見ていて。
わたしは、わたしは、胸がいっぱいになって、ポロポロと涙がこぼれた。