リツエアクベバ

satomies’s diary

メッセージ

ウッドデッキ業者が、現場確認に来た。先週の日曜日にもう一社が来ていて、既に最終見積もりが出てる。今日の業者の現場確認で、二社目の最終見積もりが出る流れ。

ウッドデッキの形状などの話し合いをしながら、夫に「ねえ、あれ」と言った。
それから業者のひとに説明した。

猫を飼っていた、もう死んでしまったのだが。猫が庭と家を出入りしていたのだが、どうもウッドデッキのあたりから「消える時間」があった。
なんだろうと思ってウッドデッキの下をのぞきこむと、家の床下の通気口の金属製の柵になっている蓋がはずれていた。
人間が入れる高さが無かったので、腕を伸ばしてガムテープで簡易補修をしている。
今のウッドデッキを解体した時に、そこをきちんと補修したい。解体時がチャンスだと思う。

「わかりました」「撤去する時に、次の工事に入る前に日数取りましょう」

猫がね、どこに消えるのだろうと思っていて。それがなければ気づかなかった。

そう言ったら「メッセージですね、猫ちゃんの」と、業者のひとが言った。
それを聞いてわたしは夫に「どうしよう、泣きそう」と言った。そしてそんなことを言いながらも、とにかくその場は流した。

業者のひとは、本当に深い意味も無く言ったと思う。でも、ウッドデッキの下に消えたあたりの頃は、もう命が危なくなってきた頃だった。その状態で、床下に入れる場所に行き来していた。
あの子は。死に場所を探していたのかもしれない。

夕食を食べながら、またその話をする。「猫は死ぬところを見せないとかいうからね」。
それから、今まで何度もした話を繰り返す。

あの日、夕方から痙攣が始まり。今晩死ぬことはわかっていた。わたしは猫のそばに布団を敷いた。抱かれるのを嫌がって、とにかくいつもいる椅子によたよたと戻ろうとしたのでそのままにした。そして、夜中に目が覚めたらひどく痙攣をして、椅子から滑り落ちかかっていたので抱きかかえた。悲痛な声を出して、痙攣を繰り返して。死ねない猫を抱きしめて、わたしは眠ってしまった。目が覚めたら、死んでいた。

ふつう、ふつうじゃないことが起きていたら眠気なんて吹っ飛ぶ。なのにあの日わたしは、ずっと介護をしていた猫が死ぬことがわかっていたのに。倒れ込みそうなほどに眠かった。あんなに強烈に襲ってくる眠気は、後にも先にもあの夜しか無い。

あれも、「わたしは死ぬからアンタは寝とけ」というメッセージだったのかな。

庭の柏葉アジサイが、蕾をつけ始めた。猫の棺には満開の柏葉アジサイをたくさん入れた。

猫が死んだのは、2019年の6月13日。あの年の今頃は、消えそうな命をつないでいた。
まだ当時の日記を再読するのは難しい。