リツエアクベバ

satomies’s diary

メシ

発症してから、ほとんど食事ができなかった。土曜日にたどり着くように入院してから、出された食事をずっと完食。ここのメシはうまい。

「人工呼吸器治療が時間の問題」

この状況で、いろいろ考えた。銀行、保険、もろもろのリストをどんどん作った。金があれば使えると思う感覚の夫に見せていない数字の通帳とか、わたしの通帳とか。

娘の事業所に、グループホーム入所の準備をメールで依頼した。わたしが死んだら少しでも早く、新しい生活に移行できるように。

LINEで友達に挨拶まわりをした。死んだら暮の年賀欠礼では気の毒すぎる。

息子に、起きなかったときの話をLINEで送る。今後、こう生きていきなさいと。(この子はここまでの文章が書けたのかと思うほど、立派な返事がきた。宝物になった)

わたしは。ベッドでiPhoneを抱えて仕事をした。うまく眠る準備はできたと思う。体はつらく、眠りたくもあった。

ここのメシは美味い。繊細な味の副菜の味を覚え、再現するつもりだった。食事についてくる献立の紙はすべて保存していた。

ああ。このメシを。わたしが作る日は来ないのか。おれのメシは美味いと言いながら作って食った輝かしい日々を思い出してちょっと泣いた。わたしはしあわせだった。

どうせ眠るのなら、もう食べなくてもいいかなあ。

時間で出されるメシを前に、ある食事の回にそう思った。そう思って、食べ始めた。そうだよ、どうせ眠るのならもう食べなくてもいいよ。

結果。コメを大半残した。主菜、副菜、汁物、きれいに完食。うまかった。ここのメシは、うまいよ。