リツエアクベバ

satomies’s diary

三日目

舅の点滴、三日目。

午前中夫が行き、午後わたしが行く。
今日は訪問入浴のサービスの日だった。毎週土曜日の3時が通常だったが、今日はお風呂屋さんの都合でお昼過ぎだった。医師の了解を得て、疲れない程度の入浴。

訪問入浴は、ベッドの隣に浴槽をしつらえて機械でベッドから寝たまま移動させる。

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入浴後の舅はいつもいい匂いがする。「おとうさん、気持ちよかった?」と聞くと「ああ、気持ちよかったねえ」と言う、いつも。
今日の舅は、答えずに顔を少し動かした。着替えたてのさらさらのパジャマで、そしていつものように入浴後のいい匂いがした。それからすうっと眠ってしまった。お風呂は疲れたのかなと思った。

義妹が30分ほど家をあけ、わたしは眠る舅のそばにいた。寝息がふと、がさっとした痰がからまる音に変わった。なんだか嫌な音で、思わず顔のそばに行きおたおたした。深い息をしたり、少し目をあけてうなづいたりするのを、何もできずに呆然と見ていた。どうしていいかわからず、胸のあたりをさすり続けた。
呼吸が落ち着き、寝息に変わったので、それから足をさすり続けた。

そんなことがコースで二度ほどあってから、義妹が帰ってきた。痰がからんだと伝えると、では痰の吸引をしようと。看護師さんがもってきてくれた吸引機を、看護師さんに指導を受けた義妹が器用に扱う。ズズズと音がして、舅の鼻の穴に入れた管の中を粘る痰が動いていく。

少し前は、いや数日前までは。痰のからまる音がもう少し違った。今の痰の音は怖くなる、と義妹が言う。「そうなの!」と、わたしが義妹の腕を思わずつかむ。驚いた、今日。時計は進んでいるんだと思う。

夫と娘とスーパーに行く。スーパーの中で、舅が欲しいものが並んでいる。こっちを向いていても、あっちにわたしはいつも義父のために行っていたんだと思う。こみあげてくる何かを抑え、自分の喉の下をさすり、自分をなだめる。