リツエアクベバ

satomies’s diary

ふきのとう

夫の実家の小さな畑の奥に、フキが群生しているところがある。
今日の夕食に、ふきのとうの天ぷら。春の苦味が美味しい。

家の前を通って畑の奥なんだが。公道は家の前、他人が行き来する場所はずっと手前で終わってる。畑の先には何もない、行き止まり。だから他人が用事がある場所は何もない。でもこの時期、人が入り込むことがよくあった。家からは見えない。

うちとこっちの実家を行き来したりして、そうした人たちをわたしが何度か見かけた。「なにかご用ですか?」。こっちをちらっと見て、出て行く。非常に感じが悪いとわたしは義妹にごねた。そんな話をして、家の中にいるとそうしたことに気づかないものなんだなと思った。

ある日、実家を訪ねてきた人がいたそうだ。不機嫌そうに「泥棒とか言われたくないから言いにきましたけど」と。ふきのとうを探しに何度か来ていたのを家族から咎められたらしい。
義妹が「とるのはかまいませんが、ひとこと声をかけてほしい」。
不機嫌そうにされて、それからその人を見たことがないそうだ。空き地かなにかと勘違いしたのかということらしい。

群生しているので、誰かが自分ちで食べるくらい分けられるのだが。
その群生地から家の奥に回って、家の塀の内側に入ることができる。
年寄りとおばちゃんの二人住まいで、敷地に誰かが入り込むなど、わたしが怖い。なんとかしようと、三年ほど前にコーンとポールを畑の入り口になる場所に設置した。嫌味じゃないように、趣味悪くならないように、緑のコーン。ホームセンターというものは、なんでも売ってるものだと思う。

そうやって見知らぬ人を締め出して、ふきのとうを独り占めすることになった。申し訳ないが、たくさん美味しくいただく。ちゃんと訪ねてきて、取りたい分けてほしいと言ってくれればそんなことにはならなかったのに。そんな簡単なこともなかなか難しいものだ。

以前は姑のお友達がフキを摘みに来ていたりしたなあと思う。姑ももういない。歳月はどんどん過ぎていく。