リツエアクベバ

satomies’s diary

花桃

花桃を、庭に植えた。

娘が特別支援学校を卒業する時に、記念樹を植えた。その記念樹がつけた実を、かつての担任が農園芸の作業班で小さい苗に育て学校祭で販売した。
小さい鉢につきさした単なる枝のようなその鉢は、うちで育ち続けた。

一メートルを超えるくらいになり、そろそろ地植えにしなければと思っていた頃に、猫の命の終わりが見えかけてきた。この猫が死んだら、庭に花桃を植えよう。火葬した猫を花桃の下に埋葬しよう。

猫は6月に骨になった。花桃の植え付け期は落葉後、11月から12月。極寒を避け、2月から3月。それで秋に植えようと思っていた。

暖かい秋から急に気温が下がる日が続いた。「年が明けて2月になってから」と、わたしが言った。

2月になった。「どこに植えるのか」と夫がわたしに聞く。「このあたり」とわたしが答える。陽当たりを確認し、夫が場所を決め掘り始める。梅も咲き始めた。そろそろ花芽が育っていく。

花桃を今日、植えた。猫は埋葬しなかった。花桃の下ではなく、脇に埋めることにした。「佳き日に」「ちゃんと準備をして」「写真撮ったり」。
要するに、まだ骨を手離せない。