ピアスにコンプレックスがある。
耳に穴をあけたかった。日常的に耳になんか小さなキラキラをつけたかった。できなかった。耳たぶが厚い。そこに穴をあけるとか怖い。あけた穴になんか通すとか怖い。できないし、怖くて。金運とか、どうなんだ。金運下がっても若けりゃ取り返せるが、もう後がない。
でも、あけたかったなあと思う。だからピアスにコンプレックスがある。
今日、娘の事業所に行く用事があった。織物の製品をついでに物色。さをり織りの小物をちょこちょこと買っておく。ポーチなどの小物はちょっとしたプレゼントによく使う。
さをり織りの小物の製品に「さをり織りのピアス」がある。職員さんに「新製品だ」と見せられた時に「わたしはピアスをしてないからいい」と言った。ほらほらと職員さんが自分の耳にさがるその製品をわたしに見せ、わたしはそれがまぶしかった。
「わたしはピアスをしてないから」と言うと職員さんが「だいじょうぶ、ノンホールのタイプも作ったから」と言った。ノンホール?わたしは首を振って、いい、と言った。わたしはピアスにあこがれながら、怖がって逃げたから。だからそうっとこの話題から逃げた。
それが去年のこと。今日、娘の事業所に行った。ノンホールのタイプとかいうものをじっくりと見た。透明な樹脂で耳たぶをはさむ。透明だから金具が目立たないイヤリングということか。
ふむふむとか思いながら、ポーチなどの小物にそうっと加えて買った。
耳につけてみる。どきどき。えっと。なんか、いいんじゃない?これ。こんなものがあるのか、あるんだ。ミンネとかamazonとかに「ノンホールピアス」と入れてにこにこ。