リツエアクベバ

satomies’s diary

反抗期

娘と息子と。二人ともいわゆる「イヤイヤ期」が無かった。3歳違いの知的障害のある女の子と、発達がオクテの方に類する穏やかな男の子は、双子のように戯れて、子犬のようにいつもきゃっきゃと遊んでた。寝かしつけるのに動物園のような騒ぎ方をして、半ばうんざりする頃ばたんと眠った。
イヤイヤ期が無いものだから二人を連れての買い物はいつも遠足のようで、各々がお菓子をひとつ選ぶのにいつも夢中だった。

娘の反抗期は、小学校の5年生くらいから始まった。直接的に世話をされるのを嫌がり、なんでも自分の力でやりたがった。授業参観では友達のおかあさんに「おかあさん!」と呼びかけて手を振り、わたしをあからさまに無視した。電車に乗って出かける時は隣には絶対に座らず、少し離れたところでさも単独で行動しているかのような顔をした。病気になったときは、欲しいものを要求はするがそばでくっついて世話をすることを拒否した。
とにかく「わたしはわたしである」的行動で意思表示をした。いわゆる生意気な口がきけるような言語能力は無かったので、こちらが大人気なく向っ腹を立てるような状況にはならなかった。

娘の全ての行動が「親から離れる」的なものであったので、わたしはその自立心を利用していろいろな作戦を練り、気づかれないようなレールを敷いた。
娘が、彼女のIQからは考えられないような生活力を次々に身につけた頃、反抗期は終わったようで、なんだかふわっと戻ってきた。

息子は。ずっと穏やかなままで反抗期らしい反抗期が無い。成長の過程だとか、無い子もいるとか、いや無い子は後で問題がとか、いろいろな説があるようだが、とにかく理不尽な受け答えをされるようなことはなく、急に会話が減るようなこともなく、なんだか全然変わらない。

高校生くらいの頃か、大学生くらいの頃か忘れたが、わたしから反抗期的態度をねだるようなことはよくあったが、相手にもされなかった。
そしてそのうちわたしは、本格的に反抗期をネタに遊ぶようになった。

「ねえねえ、反抗期ごっこしよう」
「反抗期ごっこするもの、よっといで。はーい!」

などと騒いで、息子のうんざりする顔を愛でながら爆笑するのは楽しい遊びだったが。

今日!新しい遊びを思いついた。わたしが!反抗期になるのだ、息子を相手に。

「は?うるせーし!」
「べ、つ、にー!」
「何が、だし!」

話しかけられてもいないのに、矢継ぎ早に大声で息子を相手に反抗する。すさまじくおもしろいのでしばらく不意にやると思う。