「まだ元気になれないですか?」
「まだ難しいですよね?」
その人と顔を合わせた途端、そう言われた。
その言葉は、わたしのこころに不意打ちのような感じでまっすぐ刺さってきた。
え?
えっと、いや、もう3週間も経ったし。
と、心の中では反応してたんだけど。
え?
わたし、元気なの?元気じゃないの?
いや、本当のところ、平気ではないんだ。
元気じゃないわけじゃない。でも。平気じゃないんだ。
つらいんだな。
って、わーって心が動いてヤバかった。
娘の事業所の職員さん。
娘は朝は送迎車が迎えにきてくれる。
猫が死んだ朝、添乗で来た。
彼女の顔が見えた途端、わたしは走って行って思わず軽く抱きついた。
「猫が、死んだの、今朝」。
うちの猫は18歳で終わってしまったけれど、彼女のところの猫は19歳。
この猫も腎臓が悪い。
「猫が、死んだの、今朝」
「ロイヤルカナンがあるの、まだたくさん」
「もらってほしい」
言いながらぼろぼろぼろぼろ泣いた。あの朝。
それ知ってる、その人に「まだ元気になれないですか?」って聞かれた。
そんなに簡単にはいかないよね、って言われた気がした。
うちにあった腎臓が悪い猫の療法食といわれるキャットフードは、全部彼女の猫のところに渡した。
今日、用事があったので娘を事業所に直接迎えに行った。
キャットフードは事業所預けにしたので、彼女に会ったのはあの朝以来だった。
そうなの。
日が経っていく。
さらさらとしていくところがある。
でも1日のどこかで、いろいろ思う。
1日のどこかで、写真を眺めてる。
でもそんなことは言わなかった。
なんつーか、自分、泣いたら困る。
さらさらと、そうやってまだまだ日々は流れていくと思う。
「元気」に関するそんな問いかけには、目を伏せてやり過ごし。
フードについて、ふたりでちょっと話した。
まだ3週間だけど。
まあ、日々を過ごすさ。
いろいろあるさ。
これも、人生だ。