猫が。
昨日から足がおぼつかなくなった。腰が抜けている感じというか、脚が崩れるというか、そんな感じ。
昨夜から目玉がおかしい。まん丸の黒目が白く濁った感じがする。
義妹がきて、話しながら「あれ?」と言う。「猫の目じゃない」。
昨夜から濁った感じになったんだよ、白内障みたいなと言うと「違う違う」と。「猫の目じゃない」。
え?
あ。
ほんとだ。
昼間なのにまん丸だ。
これってあれ?瞳孔がなんとかとか?
懐中電灯をあてる。黒目が小さくなる。でも人間みたいだ、猫の目じゃない。只事じゃない。間近なのか?
病院に電話をかける。脚が崩れる、瞳が変だ。
「あー」と、医師が息をつく。「神経症状です」。
「ピクピクしてるよ」と義妹が言う。医師の話を聞きながら猫をさわる。体が小刻みにちいさく痙攣する。
小さく痙攣しています、間近ですかとわたしが医師に尋ねる。
「近いうちではある」
「でもなんとも言えない。そこから頑張ってしまう子もいる」
「浮腫ってるので、皮下輸液はもう効果は期待できない」
「できることは静脈からの」
「あとは飼い主さんの考えで」
ありがとうございました。また何かありましたら連絡させてくださいと言って切る。
医療的にできることはあっても、もうさせたくない領域だし。
電話切ってから聞いたことを義妹に話す。それから猫を抱いて庭に出る。
ほらアンタの好きなこの場所だよ。しかし雨上がりで蚊がすごくてかなわんね。
降りるんだと抵抗するので下ろす。おぼつかない腰を振りながら座位を保つ。
その姿がかっこいいなと思ったので写真に撮る。ごめん。
しばらくそうやって座っていて。したいようにさせようと。
姿勢が崩れたので部屋に入れる。いつもの位置に崩れるように仰臥。
夕刻から崩れていくように末期。頻繁に痙攣。名前を呼ぶと尻尾をふる。賢くて泣ける。