リツエアクベバ

satomies’s diary

若ばばあ

「若いからねー」

(え?)と思って看護士さんの顔を見た。
「喜んでいいとこよ!」と、看護士さんが(イエイ的顔)で言う。
にこにこっと、正直に喜びながら、(バカだなあ、おれは)と思う。
ドクターは、このやりとりも、わたしのことも、なんにも見てない。
彼が見てるのは、わたしの指だけ、指の傷だけ。

診察室に入ると「濡らさないでいられた?」と、ドクターが言う。
「がんばったんですけどー」と、ふざけた親指負傷おばはんが答える。
防水するんだけど、なんかしっとりしちゃうんだよね、他の指も親指も。

テープ外して、傷口を出す。
「あー、ふやけちゃってるねえ。ふやけちゃうとくっつかないんだよねー」。
「汗かいちゃうんだよねー」。
「若いからねー」。

なんでこんなシチェーションでもがっつり反応するしちゃうんでしょうかねー、こういうフレーズにねー、悲しいねー。
この場合で「若い」言われない年齢は、年金もらえるよねー。

傷口はテープで寄せた。
このままでいい。
乾かせ。
濡らしていい、汚れたらその都度洗え。
炊事は手袋しろ。
明日また見せに来い、だそうです。

切れないものを力ずくで切っていました、カッターで。
だから勢いついた動きで切った。
馬鹿だなあ。

わ!切った!って騒いで。
夫がすぐ「わかっててもやっちゃう時はあるから」って言った。
義妹が「あるよ、あるある、そういうこと」って言った。

父はこういう時「ほら」って言う人だった。
「ほら」って言って、ネガティブなことを言って責め、「だから」とまとめた。
まあモラちゃんですが、もう仏様だからいいんだけど。
こういう時に「ほら」を身がまえるようなところは自分の中にあるよな、と思う。
そういう時に「あるある」って出てくる人たちを、なんかすげーな、と自然に思う。