リツエアクベバ

satomies’s diary

祝!成人/その1

ぶつくさとちょびっとふてくされていた成人の日、娘宛てに大きな花束が届いた。わーお、ちぃちゃんにだよ、おっきな花束だねえ。娘は抱えて大喜び。地域のダウン症の親のグループからお祝いのメッセージカードがついていた。このグループの中では娘が一番大きい。小学生のママたちが中心になって運営しているのだけれど、そのママたちが話し合って成人の日に花束贈呈を決めてくれたのかと後輩たちにいとしいというような感じの思いがこみあげた。障害がある子を育てる20年って、やっぱり大きいよね。そのことをどんな風にイメージしたんだろう。考えてくれた人たちのおかげでとてもしあわせになる。
さんざん写真を撮って、花瓶に入れるのに花束を解体。たくさんのお花がぎっしりで、家の中があちこち花だらけになった。うれしくなった。成人式関連でちょこっとふてくされてた自分が恥ずかしくなった。ニュースでは被災地の二十歳たちに焦点をあてていて、それを見てまた恥ずかしくなった。
成人のお祝いに合わせて晴れ着を用意した。きれいにする、晴れ着を着せる。ここに「本人が無理なく楽しめる」ことをどう組み合わせるかずいぶん考えた。おしゃれというものには我慢がつきもので、洋装の我慢も嫌がるところはあるのを考えると、振袖着付けぐるぐる巻の刑は避けたかった。で、よし、と。わたしが着た振袖にハサミを入れて仕立て直すことにした。洗い張りに出しきれいにした上で、本人の体の寸法に合わせて立体的に仕立てていく。

立体裁断/フィット仕立て

これできつい思いをしない晴れ着が出来上がった。帯をどうしようかと思っていて。背が低い、身長だけで言ったら小学生くらいしかない。その背丈で通常の帯で飾り結びをすれば、多分かなり重たい。その重さを背負うためにはかなりぎゅうぎゅうに締め付けなければならないと思うとそれも避けたい。それで通常の袋帯ではなく、半幅の帯を使うことにした。金糸を使った豪華な感じの半幅の帯を使って作り帯を作った。結ぶより作り帯の方が、本人の負担は少ない。

かんたん着装造り帯/さくら造り帯

この作り帯は、帯にハサミを入れることなく、縫い付けて形を作って仕上げていくもので、後で加工をほどくこともできる。
仕立てに出してできてきたものを締めてみて。形ができている部分の紐をしめ、土台になっている部分の紐をしめ、という構造になっているのだけれど、どうも帯が重い。帯が下がるのを防ぐためには、この紐をきゅきゅきゅっと、けっこうきつ目に締めなければならなさそうだと思う。
着せてみてそのあたりにちょっと不安をもって。普段着の上から自分で自分に何度も締めてみる。状態をみるために前後逆にして締めてみてるので、腹の前に文庫のリボンが突き出てる。それを見ながら(ふうむ…)と考える。通常の帯は帯枕でひきあげて帯を固定させるけれど、半幅の帯だと紐だけで上部を固定しなきゃならなくて、そのあたりがネックになっているのかもしれない。
よし。と。では上を引き上げてぎゅうぎゅう締めなくてもいいように、下をしっかり固定させよう。しっかり固定、しかもぎゅうぎゅうではなく。ふむ、これでいこう。
ということで、ゴム製の腰紐を帯の下部にセットする。そのゴム製の腰紐であらかじめ帯の位置をセットし、その重みにのせていくように上の部分をセットする。そしてその上部が崩れてこないように着物クリップを帯に仕込み、そのクリップ部分を帯揚げできれいに隠してしまう。ジーンズの腹に帯の文庫をまきつけて、「おお、カンペキ」「わたし天才、えらい、すばらしい」と歓喜しているのを娘が変な顔して眺めてた。
いやいやちぃちゃん、おかあさんはたどりついたのだよ。きつくない、苦しくない、重くない、つらくない。楽しい楽しい晴れ着姿をアンタにあげる。うはははは、わたしはうれしい。
こうして娘が「晴れ着で成人」を迎える準備が着々と行われていったのでした。ちぃちゃん晴れ着大作戦の巻。