リツエアクベバ

satomies’s diary

一夜明けて翌日

震災当日の3月11日、停電が終わってから実家の両親とやっと電話で連絡が取れた。オーストラリアの姉と母と、母のiPadで連絡が取れていて、とにかく無事は確認できていたとのこと。「おねえちゃんが心配しているから、今日のうちにおねえちゃんにメールを打っておいてちょうだい」と言われて、電気復旧したパソコンを立ち上げて姉にメール。ここで初めて「震災の日のこと」を文章化した。その送信済メールを確認して、その日のうちに両親と連絡できたことを思い出した。姉へのメールだけではなく、自分のために文章化して残しておくことを考える。
姉がとても動揺していて。周囲の人にもたくさん声をかけられているそうで。ふうんとか思っていてパソコンであれこれ見ていて、↓のサイトの写真の数々を見て呆然として納得する。オーストラリアでの報道はどんなだったか具体的にはわからんが、Japanはこんなだとこんな情報を国外で見ていたら、そりゃ大慌てになるだろう。震源地からある程度の距離はあったとしても。

Massive earthquake hits Japan - The Big Picture - Boston.com

昨夜に続いて再び姉にもろもろメール。今回の震災で携帯の回線よりもインターネットの方がつながることを学習できたので、姉にgmailのアドレスを渡す。
昨日一日の経験で学習したことを整理。

  • すぐに出せるところに置いておかなきゃ意味が無い物リスト
    • 懐中電灯/携帯電話の簡易充電器/乾電池/ラジオ
  • 非常時の連絡手段の確認
    • 携帯の電話回線は信頼できない場合が多い
    • 携帯のメールは自動送信ではなく手動更新が有効
    • 携帯からインターネット回線利用の方が、つながる可能性が高い
    • スカイプ利用
    • 災害掲示板の利用法の理解/送信メールアドレス登録等の準備
  • 常に充電をしておくことが必要なもの
    • 充電池/ノートPC/携帯ゲーム機(停電時に灯として使える)
  • できれば準備しておいた方がいいもの
    • ロウソク

テレビはずっと震災の情報を流し続ける。あれ?今なんて言った?
「今夜6時過ぎからかなり電力が不足する、東京電力の圏内で一部の地域が停電します」
今、そう言ったよね? 字幕テロップとか出ないし、繰り返してもいない。でもそう言ったよね? ヤバい、買い物行かなきゃ。義妹に「買い物行くけど何かいるか?」と聞くと、「石油ストーブ」と答える。昨夜、電気が要らない石油ストーブが頼りだった。今の旧式のコレはもういつ故障するかわからない。一台くらいまだあってもいいので、車で買い物回るなら電気屋であるかどうか見て欲しい、と。
ふむ…と思い、大手の電機屋に電話。「ファンヒーターではない石油ストーブは店頭にあるにはあるが、ほんの少ししか無い上に需要が急に出ていて、お店で売れる状態だと答えられる状況ではない」とのこと。つまり数台の在庫に問い合わせが来まくっているとのことだった。
「なんかすごい騒ぎみたいだねえ。とりあえず買い物行きたいけど、昨日できなかった家事がまだもろもろあるから、悪いんだけどちょっとその間に灯油買ってきてくれない? うちに灯油もう無いんだ。あ、ガソリンが今半分くらいになってるから、ついでにガソリンも入れてきちゃって」。
ほいほいと夫が車でガソリンスタンドに行く。びっくりした様子で帰ってくる。「灯油は買えた、でもガソリンは売り切れだと。ガソリンスタンドの前がすごい渋滞になってて、店員が『並んでもらってももう売り切れた』と一台一台言って回ってた」とのこと。ひょえー。灯油買えてよかったねえ、と。この時はガソリンがここまで逼迫するとは思わず、その後車で買い物に出た。
「無くて元々だけどホームセンターにストーブあるか見に行くか」と、ホームセンターにまず行ったら、売り場がなんだか異常な状態になってた。人がひしめきあっているコーナーがあって、何かと思ったら懐中電灯と乾電池のコーナーだった。いわゆる普通の懐中電灯はすでに売り切れていて、LEDの数千円のものがいくつか残っていて、人々は3千円だか4千円だかのそうした品を手にとっては検討している様子の人だかりになってた。そういや夫がこのタイプのものを持ってたな、確かすごい明るかったよなと、3千円のものをカゴに入れた。
そばの人が「昨日停電したとこは今夜また停電するのよ!」と叫んでた。(そういうことになってるのか?)と思った。テレビでは「東京電力の圏内で一部の地域」と言ってたけれど、地域がどことは言わなかった。ただ、昨日停電した地域の現実感は半端ないよなとは思った。
乾電池はまだけっこう売ってたので、ここで調達。ただLED電灯に必要なパワーのあるリチウム電池は無かった。「ロウソクも買わなきゃ」という叫び声が聞こえたけれど、それはとっくに売り切れてた。
「トイレットペーパー買っていく」と言って、紙のコーナーに行く。12ロールと16ロールのものが売っていて、16ロールのものを選択。「いつもならこっち買うけどね。でも、人は不安になると紙を買いだめするんだよ。だから明日はもう買えなくなるかもしれない。16を買っておいた方が安全なんじゃないかと思うんだ」。この日からトイレットペーパーが売っている店を見なくなった。あそこで買っておかなければ、ウチでは今頃新聞紙でも使ってたのか?というタイミングだったと思う。うちのトイレにはもう一個かニ個しか無かったからね。
「あるはずがねーだろなー」という感じで、次は電機屋に行く。店頭で石油ストーブの在庫を聞くと、まあとっくに無いよと。今度は余裕で「無いはずよねん」と懐中電灯の売り場を見に行くと、当然のように売り切れの貼り紙。店員さんも「もう無いです」とあちこちの人に説明してた。「ペンライトのような小さいものなら少しだけ」と言っていたので見てみる。LEDのキーホルダーにつける小さいものがいくつか残ってた。それを購入。息子に持たせておきたいと思う。もういつなんどき何があるか、全く安心できねーよ的感覚があった。いつ暗闇を歩くことになるのかわからんぞ、と。そんな感覚になっていた。ここでも乾電池はたくさんあった。さっきは買えなかったリチウム電池をここでは買うことができた。これで当分安心だな、と思った。夫が「ロウソクあったぞ」と持ってきた。あらよかったねえ、安心だねえ。
ただ、この時は。もしかしたら起きるかもしれない「東京電力の圏内一部の地域の停電」の、それも「自分とこがもしかしたら臨時で当たるかもしれない」停電くらいにしか思っていなかった。この翌日の夜には、もっと詳細な計画停電の話が出てきて、しかも月曜の交通が大混乱になることなど、全く予想していなかった。その後、定期的に夜間の停電を担当していく生活が来ることになるとは全く思っていなかった。まだまだ平和な土曜日だった。この土曜日の夜にも翌日の日曜日にも、停電は起きなかった。
電気屋の次に、スーパーに行った。明日のパンとなんだっけ、なんだか一品程度を買うために寄りたかった。ここの駐車場で、娘ががんとして車を降りなかった。車で買い物に出かけて、駐車場でそんな態度を見せることは珍しかった。非常に意志的に「降りない」と言い張ったので、夫と娘を車に置いて買い物に行った。パンの売り場からパンは消えていて、なんだか人の群れに殺気立った感じがあった。(ああ、今日行った二軒の雰囲気でこんな感じをあの子は予想していたのかな)とか思った。その予想は正しいかもね、と思った。