リツエアクベバ

satomies’s diary

紹介

昨日、行きつけの美容院に電話をかけた。「店長さんとちょっと数分話したいんだけど、お時間いただけますか?」

あのね、ちぃちゃんのカットが周囲で好評だ。それで「お店を紹介して欲しい」って言われた。20代のダウン症の男の子。お母様の要望は「かっこよくして欲しい」ってこと。

ふむふむと聞いていた彼は、「かっこよくして欲しい」ってとこで大きく反応する、「いいねえいいねえ、わかったわかった、了解了解」。

今まではずっと床屋さんで散髪をしていたそうだ。美容院に連れていきたかったんだけど、なんとなく気後れがして勇気が無かったそうだ。

うんうんと話を聞いてくれる。このあたりは彼とは長いつきあいのあうんの呼吸。本人に対してもお母様に対しても上手に接客してくれるだろう。

ちぃちゃんより発達はずっと上。ごく普通の会話は本人と成立する。

ここでちょっとほっとした声になる。がんばってくれるだろうとはいえ、初対面の知的障害者に接客というのは、やっぱり緊張はするんだろうと思う。
お母様の要望通りの予約が取れたので、お母様に電話。「おっけー、予約取ったよ〜」。「『かっこよくして欲しい』って言ったよ〜〜」。
「言ってくれたの!? ありがとう!」って明るい声で言われたので、「言った言った、だいじょぶだいじょぶ。実際そこに一番『よしわかった!』って感じだったよ」と伝える。
先方のお母様「かっこよくして欲しい」ってのが第一なんだけど、その「かっこよくして」ってのがどうも言いにくかったみたいだ。わたしに「紹介して」って言ったときも、「床屋さんに連れて行くのは、男の人ばっかりがいるところで待っているのが肩身が狭い」って言いつつ、ホントにおずおずと「かっこよくして欲しいの」って希望を出してきたんだ。でもすぐにそれが一番の要望だってわかった。だいじょぶだいじょぶ、って言うと、どんどん明るい反応になって、にっこにこになった。「きれいにして」「かわいくして」「かっこよくして」。こういう要望を口に出すこと自体、ハードルが高かったりってこともあると思う。なんせダウン症って言ったら、すぐに外見の話が裏にチラチラする症候群でもある。そのハードルを越えることができるのは、信頼ある人間関係ってことになるのかもしれない。「お店を紹介する」ってことなんだけど、「それ、堂々と口にできる人間を紹介する」ってことでもあるよな、とも思う。
さあて、来週過ぎたら「かっこよくなった」本人に会う機会アリ。すごい楽しみ。自分の腕を見て、ってのでの紹介だからカットする方も勢いづいてるだろうし、なんせちょっとでもダサくしたら「わたしのメンツ、つぶしたな〜」ってことになりかねない状況でもある。いや、とても楽しみ。