リツエアクベバ

satomies’s diary

入学手続き

息子の高校受験が終わりまして。合否発表が金曜日。そこから何日経っても出てくる言葉「ねえ、あのさ。なんか全然実感が湧かないんだけど」って。「やっぱし? そーなんだよね」って、かーちゃんも同様。銀行行って入学金も払ったし、翌日には制服作りに行っちゃったし。でもなんか実感湧かない。燃え尽き症候群かい? いやいやそういうことでもなくて。「ホント?」とかそんな感じ。「入学手続きとか、合格者説明会とか、そういうの行ったらもうちょっと実感湧くんじゃない?」。
ってなとこで。本日いよいよ入学手続きの日がやってまいりました、行ってきたぜ。合否発表の日にもらった分厚い封筒の中に入ってたもろもろの書類になんだか書いたりハンコを押したりしたのを持っていきました。
電車乗ってさ、駅に着いてさ、学校までの道を歩きながらさ、あの子はこの道をいろんなこと思いながら往復してたんだなあと。わたしがいっしょに行ったのは10月の学校説明会が最後。それからあの子は文化祭に行って帰って。前期選抜の志願に行って帰って。前期選抜に行って帰って。前期選抜の合否発表に行って不合格を見て帰って。後期選抜の志願に行って帰って。後期選抜を受けに行って帰って。後期選抜の合否発表に行って合格をもって帰って。いろんなことを考えながらいろんな気持ちでこの道を歩いてたんだなあとか思う。
校門を入ったら、「←合格者手続き」という張り紙があった。「←」の矢印を見ながらそっちに進むと「入学手続き会場」って張り紙が貼ってある会場に着いた。「←」の目の前にある建物を見ながら(そうか…)と思った。(そうか…、そりゃないよな…)と思った。思ったので帰宅してから息子に聞いてみた。「ねえアレ、あの話、あの話の場所、なんだけどさ」。

「保護者が来てたんだよ」、と息子が言う。へー。アマアマかーちゃんは行きたいのは山々だったが、我慢した。そうか、行った人もいたのかと思っていたら、息子はどんどん憤慨する顔になった。
「受かった受かったって、大声でいろんなとこに次々と電話かけてるんだよ、保護者だよ?」
2010年2月3日更新分

前期選抜で不合格を経験したときのお話ですね。今日学校に行って、その話の舞台の場所がわかったってこと。
「このときの『保護者だよ?』って人は、要するに『←』のエリアではなく、『←』に行けない人がまっすぐ校門に戻るその途中にいたわけだね?」
「そうだよ! そこだよ、その場所なんだよ! ←って書いてある方に行かなくて行けなくて、まっすぐ帰らなきゃいけない、その通り過ぎなきゃいけない場所にいたんだよ! それで『受かった!受かった!』って叫んでたんだよ。みんな見てたよ!」
…。そうか、そうですかい。「みんな見てた」っていうか、見ざるを得ないとこで叫んでたんだなあと。人にはいろんな考え方があるかもしれんが、やっぱアンタそれはないでしょう、って場所だよなあと思った。そこ通り過ぎてから道で泣いてる女の子たちを見たんだなあと。その子たちもきつかっただろうなあと思った。後期選抜の合否発表のときは「封筒の中の合格」を見たら、すぐに「←」に進んだ。だから不合格の人の情景は見なかったって話だった。つまりこの前期のときの「お電話合格かーちゃん」は、「←エリア」ではなくわざわざ不合格者が見える場所で叫んでたってことだ。「←エリア」でやってりゃよかったのにねえ。オトナってのは子どもにとってのオトナじゃなきゃいけないよなあ、とか思った。でもまあどんな経験も肥やしにしたモン勝ちよ。ってなことをオトナはちゃんと伝えていかなきゃいけないとも思う。
そんなこんなで(ここがその件の舞台ですかい)とか思いながら校門を出た。出てからちょっと歩いて、振り返って校門と校舎を見た。今度来るときは息子といっしょに説明会だ。その後今度は息子ひとりで手続きに来て、そして次に来るのは入学式だ、新しい制服を着てね。そして4月から3年間をここを通って過ごすのか。いろんなこと、あるんだろうなあ。ここを出るときは、また大きくなっているんだろうな。