リツエアクベバ

satomies’s diary

合否発表の日2

痛々しかった息子が、自身の「後期は絶対勝ってやる」という強い一言で立ち上がり、後期志願の書類を書き上げた。「たのもー」とか言う。なに?
あのね、門前払いされたんだって、だから「たのもー」ってもう一回行くんだって。書き上げるってことで、自分の決意ってのも、しゃんとしたみたいだった。
いっつも二人でアホアホモードで騒いでるんだけど、二人しての沈黙モードがあけてから、どっちからだったかもう覚えてないんだけど、相互にこそっと、相手のツボ発言を投げ始めた。よくわからんけど、まあ気づいたら、二人でいつものようにぎゃはぎゃはぎゃはぎゃは笑ってた。
ねえ、とわたしが言う。「アンタんとこのあの熱血、なんて言ってた?」。
合否発表行ったら次には中学に行く。進路の先生んとこに結果報告に行って、それから自分の教室に行って担任に報告という流れだったのだけど。どうしたかなあと思って、あの熱血。
「どうしていいかわからない顔してたよ」「黙ってたらさ、『なんかしゃべってくれよ』って」。でも何にも言わないで帰ったのだそうだ。おきまりの「まだ後期があるじゃないか」ってのは言ったかどうか、よくわからない。わたし自身は、これは本人が改めて決意するもので、そのスイッチが入るまではこっちが言うことじゃないと思ってたから言わなかった。で、そんなこんなでその言葉を自分から出すのがイヤだったから、それに関しては聞かなかった。
「どうしていいかわからない顔してたよ」「黙ってたらさ、『なんかしゃべってくれよ』って」。ふむ、そうか。んでは後で、他の子の報告ってのがもう落ち着いた頃に電話入れよう。
なんてことを言いながら、併願私学の受験料と後期志願の受験料を振り込みに行こうとしたら、「いっしょに行く」と言う。そかそか、ほいほい、んではそのまま外で昼飯も食ってこよう。正午はとっくに越えていて、さっきは「何も食べたくない」と言っていた息子が、もうこの頃には「そだそだ、食ってこよう」モードに変わってた。
支度して出ようとして、ふと時計を見ると、すでに一時を回ってた。おお、もういいだろう、出かける前に先にあの熱血に電話入れるよ。モードが変わった息子の声を、あの熱血にも聞かせてあげたかった。
電話に出たあの熱血の第一声は、もうなんか真っ暗って感じだった。気心しれてる楽な関係ってとこもあって、こっちの第一声は「どうも〜〜」ってな感じだった。真っ暗って感じで出てきたあの熱血は、わたしの第一声にひどく驚いて、「おかあさん…、元気ですね…」と言った。
「いやいやいやいや、くっそー、くやしいよ、すごくくやしい。わたしがやった事前対策が負けた、よね。くっそー、ホントくやしい」。そう、まくしたてるように言うわたしの後ろで息子が叫ぶ。
「違うよ! あの学校に、あの学校だからこそって入りたいヤツが内申高いとこでたくさんいたんだよ! 」
いやいや、わたしがつべこべ言うより本人に替わるからって言って、受話器を息子に渡す。なんだか一生懸命、二人でなんだかんだとしゃべってた。その様子をちらっと見ながら、今日中に声を聞かせて良かったなと思った。あの子のモードが切り替わったのを、わたしばっかり見てるんじゃ、ちょっとズルいよね。って思うほど、あの熱血は頑張ってるよなって思った。