リツエアクベバ

satomies’s diary

担任、やるなあ

息子がばらばらと、なんか紙を見てた。「見せて」って言ったら「やだ」って言った。「見せてよ!」って言ったら見せてくれた。ふむふむと見始めて、うわって思った。
クラス全員が、ひとりひとりA5版の用紙にメッセージを書いたもの。表紙には「受験に向かってがんばろう」とかなんとかって書いてあって、そこに「34人がついている」とかなんとかって書いてあって。そして中は高校受験を目前にした自分たちに送る34枚のメッセージだった。
がんばってきた自分を信じようとか、合唱コンクールで自分たちのクラスが最優秀賞を取った日を思い出してがんばろうとか、落ち着いていきましょうとか、みんな揃って志望校合格とか。胸にぐぐっと迫る力強いメッセージばかりだった。友達に自分にみんなに、力強い激励の言葉が並んでた。
中の一枚の文章から、なるほどこういうことかと思った。担任が言ったと。みんな揃っていい結果を迎えようと、そして卒業式まで全力でみんなで遊び尽くそうと。ははーんそれで、「君のうしろには34人の仲間がついている」ってことになるんだな。
そしてこれを印刷して、配ったのがいよいよ受験開始の前日。明日は私立の推薦入試がある。クラスの中の数人が受けることになってる。試験直前にこれを見て、自分自身を激励しろってことだったらしい。
34枚は全て無記名。息子本人もどれが誰のかはよくわからないらしい。はっきりこれって聞いたってのは3人くらいだって言ってた。後はわからないと。ひとりひとりがみんなに向けて書いたものだから、どれが誰のかってのはわからなくていいんだそうだ。
「アンタのどれ?」って聞くと、「わかる?」と言ってくる。「多分、わかる」って言って、再度その紙の束をめくりはじめた。「これじゃない?」って言いながら中の一枚を出すと、「なんでわかるの?」って言う。いやなんとなく、そうかなって思って。
なんとなく、そうかなって思って、ってとこだったんだけど。実はそこに書かれた文章に驚いた。そうか、そうなんだな、そういうことなのか、と、思った。
「今、感じているプレッシャーは、力をつけた印なんだ」って。だから自信をもっていこう、って。
確かにね、自分の力がとうてい届かないことに対しては、できなくて当たり前で、だからプレッシャーってことではないもんな。この子はこうやって、自分の不安を乗り越えようとしているんだな、って思った。
しかしコレ、この紙の束はホントすごいものだと思った。試験の前夜に取り出して読む子は多いだろうと思った。
この担任、中一の時にも担任で、担任をもっていただくのは中三で二回目。中学入学のときにびっくらこいた先生。自分の日記の過去記事を掘る。あったあった、入学式のときの記述。

2007年4月6日更新分より
担任が。口をあけてぽかんとしたくなるとうか、目を奪われてしまうというか、悪くすると吹き出しそうになるというか。いやものすごい「青春熱血教師」だった。なんか今にも、海に向かって走り出しそうな感じだった、いやマジで。教員4年目の熱血青年。
あの強烈な熱さがいまどきの子どもに醒めた視線で見られないか心配だけど、実際暴走気味の青春ムードにぽかんとしていた子どもは多かったけれど。それでもあの熱血があれば、大半のことは前向きに対処ムードができていくんじゃないかと緊張が急にゆるむ。

息子の入学の年度に異動してきた先生で、受け持ちのクラスだけではなく、学校全体で熱血ぶりにびっくらこいた。遊ぶときは全力で遊ぶ。授業はうまい。学級対抗モノには異常に燃える。うるさいとか、大騒ぎし過ぎるとかって生徒の評はあったけれど、中三になったときにこの先生のクラスになった子は、「中三でこの先生」と、最初から「行くぜモード」のスイッチは入ってたような気がする。合唱コンクールの団結ぶりは校内でもなかなかの評判だった。
あの熱血、最後のクライマックスがこのメッセージ群の作成の提案か、って思った。やるなあ、担任。