リツエアクベバ

satomies’s diary

中三家庭科

息子が中三の家庭科で「保育」の勉強をずっとやっていて。中三になってすぐの授業参観の家庭科は、「幼児のおやつについて」の班ごとの発表だった。
自分が幼児のときのおやつを親から聞き取り調査したり、班の中で幼児のおやつについて話し合ったり。そして班ごとにテーマを決定して、そのテーマに基づき幼児のおやつの考察を発表するというもの。見た目について、食感について、栄養価について、幼児が好む甘さについて等、班ごとに着目した点はいろいろで、きちんとマイクを使って行うその発表は参観していて興味深かった。
参観場所は家庭科室で、班ごとに別れた席についていた子どもたち。参観に来ていた母親たちは、広い家庭科室の後部座席に陣取って参観。
中学ともなれば、特に中三ともなれば、そしてこの学年が小学校の頃からずっと男女割合が「3対1」である「男の子ばっかりの学年」であることがあったりとかで、「『授業参観なんか来るな』と言われる」という話をよく耳にする中で。この日の参観に来ていた母親は数人。「あらまあ、ついこの間までちっちゃい子だったような感じなのに、幼児がどーたらだって」とか、くすっとこそっととかヒソヒソ言ってた。
班ごとの発表の中で、エンターティメント的要素満載の子どもが、マイクを握ってテンション高くなっていくのでウケてた。のんきにウケてたら、いきなりこっちに振ってくるので驚く。「さて、当のおかあさんたちはどういうことを考えていたのでしょう。聞いてみましょう」とか言って、指名してきやがった。まいった。
「糖分の取りすぎに気を付けながら、楽しめるものを、と思っていました」。先生を意識してちょっとしどろもどろ。半分はホントだけど半分はウソ。スーパー連れて行って握ってくるものを、「コレは高いからダメ」とかなんとかってのが中心ってのがまあ生活の中のホントだわな。ヤツらが自分で一個選んでくるのは果汁グミが多かったな。カップゼリーが好きだったな。かわいかったな。かわいかったな、とかなんとかってのがその当時の思考よりもよみがえってくるのが中高生のかーちゃんだわな。
で、そんな線の延長で、夏休みの宿題が「手作りおもちゃ」。で、アンタ何作るの?と聞くと、段ボールで作るコリントゲームだと答える。え?何それ?ってのに「ネットで調べた」と答えてくる。検索して出して、ここで学習したらしい。

はっちゃきランド

ここに出てくる丁寧な説明通りに段ボールを切って組み立てていく。100円ショップできれいなビー玉を買ってボールにして、これも100円ショップで買ったポスターカラーを塗って、ポケモンシールを貼り付けてできあがり。幼児ではないんだが娘が歓声をあげて夢中で遊ぶ。それをほっこりとした笑顔で眺める「弟」「弟」が「姉」の知的な発達を追い越していくときに、「弟」の遊びのルールを「姉」がわからなくなっていくことに、「ちぃちゃんはボクと遊んでくれない」「ちぃちゃんはボクのことが好きじゃなくなったんだ」と泣いていた「弟」が、自分が作ったおもちゃで遊ぶ「姉」を見て微笑む。かーちゃん、なんかもう、ちょっとたまらん光景だった。
自作の手作りおもちゃを提出するときにいっしょに出す用紙を息子が持ってくる。「ここ書いて」と指す場所に、「家庭から」という欄があった。「自分が作ったおもちゃを楽しんで遊んでくれる光景に喜んでいました」と書く。主語不在。「姉」は幼児じゃないからね。でもいいじゃんコレで、と思う。
夏休みが明けて。「どんなおもちゃが出てきた?」と聞くと、「全員出したわけじゃなかった、宿題だったんだけどね」との返事。「中三の夏休みにそんな時間のかかる宿題なんてやってられない、5教科以外じゃないか」、ってな声がちらほらあったそうだ。それ以外には、「出すだけ出せば、内申で家庭科の『関心・意欲』の項の得点があがる。出しといた方がトク」ってのもあったらしい。受験環境ってのはいろいろ難しいね。
それでも。提出した子の作品は全て学校展示。かなりの力作ぞろいで舌をまく。木材を切って色を塗って作った手製のカタカタ。紙箱にフェルトを貼り付けて作った手を入れる形の宝箱、手作り絵本に布絵本。フェルトで作ったマジックテープでばらばらになるデコレーションケーキは大小いろいろなものがあった。
家で息子と話す。あのさ、あそこに展示されてたいろいろ、特にフェルトで作ったデコレーションケーキはウチにもあったの覚えてる? ウチにあったヤツはさ、障害のある子ども関連の団体が手作りキットとして販売してるのを買ったヤツなんだよ。手作りおもちゃってのは、幼児の教育に熱心な人が手を出すものでもあるけれど、既製のおもちゃでうまく遊べない知的な障害のある子のために考えられたものも多いんだよ。展示されてたものは、ビビッドなカラーのものも多かった。上品な色彩よりもビビッドなカラーの方がわかりやすいってことがあるからなのかなんなのか、ビビッドなカラーのものを好む子も多かったんだよね。あれ作った子たち、手作りおもちゃボランティアとかでおもちゃ図書館とかとからんでくれたらおもしろいのになあ。
(またそこにいくのかい)って感じで、後半もう相手にしてもらえませんでした。でもさあ、中学生の感性ってのはいろんな可能性をもってるんだなあと思った。最近の中学の家庭科って、おもしろいね。