リツエアクベバ

satomies’s diary

こっちの問題からあっちの問題の想定へ

はてなブックマーク > 知的障害者の搭乗拒否について - S嬢 はてな
2008年09月20日 popopom そこがちゃんと出来てこその“サービス”な気がするけどなぁ。もうちょっとプロだと思ってた。スマイルなんかどうでもいいのに。/追記:勿論会社ぐるみで取り組むべき問題であり社員教育に反映するべき。

いや、まあホント、そうなんですけどね。
でも。というかなんというか、「運命共同体の密室」ということで、本当はもっと深刻なパターンがあるというか。
それは災害時の避難所なんですよね。飛行機とは違って「乗せません」も「乗りません」もできない場合があるというかなんというか。でもって、「みんなが我慢してるんだぞおおお」みたいな一触即発みたいな状況で、本人の不安を表す「声」が周囲にとっては「不安感や不快感をかきたてる奇声」とかってこともあるわけで。しかも飛行機よりもっともっと劣悪な環境が予想される中で。
新潟で地震があったときに、娘の特別支援学校でも震災時に関しての話し合いがされたことがありまして。「養護学校をここに通う児童生徒の避難所にできないか」って声も出た。どうせ避難するのならば子どもが慣れた場所で。そして「ここならば」という期待感も保護者にはあったと思う。
でも。ここでの学校からの回答は「難しい」というものだった。食料の配給は避難所指定の小学校等に配られる。この学校は避難所指定がされていないので、食料は配給のある地域の避難所に取りに行かなければならない。また、避難所指定がされていないということはライフラインの復旧が遅れるということ。電気の復旧が遅れた場合、夜間の照明も保障できないということ。そしてそれらの設備等に問題が無い場合は、避難所指定がされていなくても、地域住民の方々が実際に駆け込んでいらっしゃるだろうと想定されるので、「この学校に通う児童生徒だけの避難所」にすることはほぼ無理であると予想されること。つまり「もしも大地震等の災害が起きた場合に、この学校はここに通う児童生徒が『慣れた場所』としての環境は保障できないこと」。現実問題として、いろんな意味で(そうか)と思った。
障害特性からくる不便は見えにくい場合があるけれど、過酷な状況の場合の「優先」はひどく目立つ。災害時に起きるきしみはしこりを残すだろうとも思った。
なんてとこから数年が経ち、また、災害時の対応に関しての情報がちらほら入る。避難所指定がされた養護学校が出てきているという話。
ふと思い立ち、検索。「養護学校 避難所」でたくさん出てくるんだけど、その中から二つピックアップ。

専用避難所は特に介護が必要な方のために必要な設備や人員を整備した専用の施設です。
(生徒数20名の小規模な肢体不自由児対象の養護学校

東京都立多摩養護学校(依田明校長)と多摩市との間で、「災害時における二次避難所施設利用に関する協定書」(協定日、平成19年5月1日)の締結をしました。
この協定により、災害時において、いわゆる要援護者と呼ばれる方々については、健常者の方々と共に避難生活を送ることが難しいため、避難期間が長期にわたることが余儀なくされた場合の二次避難所、特に、障がい者等とその家族の方々の二次避難所として、市の責任における管理運営を行うことにより、利用することができるようになります。

おお、こんな動きが出てきていたか、とは思うのだけれど。災害時のどたばたの中で「誰を優先に」という基準がどう動くのかということは非常に難しいと思う。地域一帯の被害が深刻な場合は避難所を必要とする人数は増えるだろうし、それを考えると「箱の広さ」には限りがある。現在の通学者は地域の障害児・者の全てではないのだし。いや都市部の現実ではその養護学校を現在利用している児童・生徒は「地域の障害児・者のほんの一部」だと思う。
医療ケアを必要とする人の優先が病院で出ることを考えると、障害の中でも医療ケア等が入る介護が日常的に必要な人の優先は、まず第一に考えるべきかとも思う。そうすると、肢体不自由児の養護学校が設備等含めて災害時に機能していくことはとても重要なことなのではないかとも思う。ただそこに地域の高齢者が殺到した場合、かなり大変なことになるんではないかとも思う。
そして。一見では障害特性による困難さがわかりにくいタイプの、そして不安な状況や非日常にひどく弱いタイプの知的障害をもつ場合は。やっぱり難しいだろうなあと思う。極度の不安を少しでも改善させるためには「スペース」が必要になるし、その「スペース」から追い出された感を持つ人も出てくるようにも思う。そして優先される必要がある理由がどこまで「そこで優先されなかった」他者に見えるかと。きつい現実だなあと思う。
検索で出していて「すごい!!!」と手をたたいたある学校の取組みがありまして。これはすごいと思う。すごい、すばらしい。

阿南養護学校ひわさ分校-行事の様子-「防災体験キャンプ」
9月6日(木),7日(金),「しっかり防災」のテーマのもと,防災体験キャンプを次のような日程で行いました。学校で大きな地震に被災し,体育館で避難所生活をするという想定で行われ,さまざまな体験を盛り込みました。児童生徒の皆さんは,学校の体育館に泊まるという新鮮な経験を楽しみながらも,災害時の大変さを身をもって感じることができていました。

学校のサイトを閲覧してみると、生徒の約半数が隣接の施設からの通学。学校全体で20人に満たない児童生徒数だからこそ、できる取り組みかもなあとも思った。でもコレ、体験しているかどうかってことは、知的障害のある児童生徒にとってすごく大きいと思った。イベントとしての「お楽しみ」を盛り込んでいて、そりゃ当然、実際の震災時の状況とは差が出てくるかもしれないけれど。そして実際の震災時の状況がもっともっと過酷であることが予想されるんだけれども。それでもこの行事の意味は大きいと思うし、この体験から得られている本人の情報は、周囲にとってもきっと役に立つんだろうな。