リツエアクベバ

satomies’s diary

もぐら

玄関を出て小さな門扉まではスロープがある。金曜の朝、そのスロープの隅に毛羽立った何かがあるのを横目で発見。忙しかったのでそのまま。
午後、まともに直視したら、もぐらの死骸だった。整地してない草ぼーぼーの庭か裏山からか、そこからどこぞの猫が掘り返して見つけて遊んだのかなんなのか。わたしはもぐらというもの、テレビや写真以外で生まれて初めて見たのでびっくりした。
土曜日、夫に言う。「あのもぐらさんは片づけないと腐敗していくと思う。アレは袋に入れて月曜日に出してしまっていいんだろうか。そんなことをしたらもぐらさんが夜、夢に出てきやしないか。『オイラを生ゴミ扱いしたな〜』と」。
夫、からから笑って聞いているのみ。
息子に言う。「アンタ、あのもぐらさんを袋に入れて、月曜日にあっちに持っていってくれないか。月曜日にあっちに持っていくと、その夜もぐらさんが『オイラを生ゴミ扱いしたな〜』と、アンタの夢に出てくるかもしれないが、おかあさんとこに出て来なきゃいいやってことで」。
息子、「オイ!」とわたしにツッコミ。「そういうのはそっちで相談してやってくれ〜」と逃げる。
日曜日、夫が裏の山からタケノコを掘る。掘った後、掘ったとわたしを呼ぶ。
「ありがとう、ありがとう、ありがとう」と、掘ってくれたお礼を述べさせていただいた後で。
「でさ、モノは相談なんだけど。なんか今、シャベルを持っていらっしゃるみたいなんですが。そのシャベルでちょちょいとお出来になることがあると思うんですが、いかがなモンでございましょ?」
夫「ん、シャベル? コレはスコップなんだけどなあ〜。」
わたし「んでもいいんだよ。そのスコップでお出来になることがあると思うざんすが、いかがなモンでございましょ?」
夫「あ、コレ? 使いたければいつでも貸してあげるよ〜。」
以後は夫はくすくす笑うのみ。ここで大声で息子を呼ぶ。
わたし「アンタ、おとうさんからあのスコップ借りて、もぐらさんをどこかに埋めてあげなさい。じゃないとアンタの部屋の窓の下んとこに埋めるよ?」
息子「おうちのことで大事なことは、おとうさんとおかあさんでお願いします」と言って逃げていく。
わたし「ヘルプ、ヘルプ、ヘルプ。スコップを持っている方、どうかどうかお願いします。もぐらさんを庭か裏のどこかで仏さんにしてやってください。」
夫、へいへいともぐらさんをスコップに乗せる。まだ目立つ腐敗はしていなくて、もぐらさんはもぐらさん。でもアリさんたちが「でかいごちそう」と喜んでいたのか、もぐらさんの下からアリさんたちがごそごそと出てくる。
スコップに乗せたら仰向けになっていたもぐらさんがうつぶせになり、そのお顔がよく見える状態に。ここでまた息子を大声で呼ぶ。もぐらってさ、顔に目が無いんだよ。ホントに無いねえ。
観察タイムが終わり、夫はスコップにもぐらさんを乗せて埋葬に行かれる。その後、「どこに埋めたの?」と聞いても、くすくす笑って教えてくれません。
まあとにかく、もぐらさんに「オイラを生ゴミ扱いしたな〜」と夜間夢まで訪問されることは無くなって、ほっとしておりますよ。