リツエアクベバ

satomies’s diary

「コーキーとともに」その3

第三話はコーキーがベビーシッターをやる。ここでそのお話の前に。
これはわたしだけの経験かもしれんが。娘が赤ちゃんの頃、(まいるよなあ…)ってことが時々あった。ダウン症関連のイベントとかで、赤ちゃんをかまいたがる女の子がいること。そのこと自体はいい、それはいい、そうなんだけれど。(まいるよなあ…)って思ったのは親。
赤ん坊のオムツ替えをする、ミルクをやる。そうすると赤ん坊の世話をしたくて寄ってくる女の子が出てくる。やりたいんだけど、まあ要するに下手だし、乱暴だ。やりたい、やらせて、が先行してるために赤ん坊の扱いが乱暴になる。ではいっしょにやろうね、ってもっていってもわたしの手から紙オムツを取り上げて返してくれない。ほ乳瓶を取り上げて返してくれず、赤ん坊の口に無理矢理突っ込む。アタシがやりたいの、で、かんしゃく起こされても、その対象になるのは人形ではないんだよ。わたしの宝物なんですけれど…。
(なんとかして欲しいこの子…)、って思っても、親は、その場に居合わせた周囲は、微笑ましい目で見たりなんかしてくれる。微笑ましい目でそれを遠目で眺め、そしてわたしたちはほったらかしだ。大事な大事な赤ん坊を単に自分の欲求の対象にされて、わたしはうれしくも微笑ましくもなんともなかった。目の前のこの子に対しての理解よりも、わたしはわたしの赤ん坊の方が大事だよ。この子のコレを迷惑だと思うのは差別ですか?
ダウン症の赤ん坊を手にしたばかりの自分にとって、障害を受け入れる踏み絵のように感じたなあと思い出す。「親」に思った。ダウン症の子どもを育てて何年も経っているあなたとわたしは違う。あなたのその感覚にわたしは合わせられない。この子に迷惑そうな態度をあからさまに取ったら、それはわたしは加害者ですか?
まあ必死に、微笑みつつ、なんとか格闘しましたよ、ゴキゲンそこねないようにしながら。だって微笑ましい視線の中で、誰も助けてくれなかったもん。でもって、人間関係トラブらないように気を付けながら、そのことは後日それなりに伝えたけどね。
今思えば。疑いの視点からスタートしてるところがわたしの中の差別っちゃ差別だっただろうと思う。そしてその大元には、わたしは娘が初めての子どもで、子どもというもの自体を知らなかったということもあると思う。二番目の子どもが赤ん坊のときは、それは余裕でしたね。子どもというもの自体を少しはわかってきてたところは大きいとも思う。そして。娘がだんだん大きくなっていって、赤ちゃんに興味を示すようになってきたときに、あのときの自分の視点を忘れちゃいけないんじゃないか、なんてことは思ったし、今でもよく思う。周囲の変な微笑ましさの中の居心地の悪さはやっぱりちょっと忘れられないですね。アレを作る側には自分はなりたくないと思う。でもって、だから、第三話のベビーシッターの「ビリーの父親」の視点や反応はわかるなあってとこがあるなあ。

第三話/邦題「ベビーシッター」

コーキーの妹ベッカはベビーシッターをやることになってた。でもその約束の日に、映画に行こうという誘いが出てくる。いろんな友人に電話をかけまくって代理をさがすが見つからない。あきらめられないベッカはコーキーに自分のかわりにベビーシッターをやらないかと持ちかける。パパがベッカを呼ぶ、コーキーに会話を聞かれない場所に。ベッカ、コーキーにはできない。コーキーはシチュエーションに応じた行動を常に取るのは難しいんだよ。「But dad,Corky want to do it.」。パパ、う〜〜〜ん。まあパパにとって痛いとこついてくる「妹」だよな。
結局、ベビーシッターを頼まれた家庭でコーキーのテストが行われる。両親がそろった状態でコーキーの両親もその家庭にいながら、コーキーにベビーシッターをさせる子ども、ベビーじゃなくて幼児のビリーの世話をさせてみる。この家庭の母親の視点はコーキーに暖かく、そして父親の視線はコーキーに厳しい。コーキーはビリーに優しい。上手に遊んでやることができる。そしてビリーを寝かしつけた後はビリーの父親の面接が行われる。シチュエーションのテスト。家が火事になったときにどう対応する? ビリーが急に発熱した場合はどう対応する? こういうときは?ああいう場合は?
コーキーは、ビリーの父親の繰り出す質問に相手が満足できる回答を出すことができる。ビリーの父親は「Great answer」だとコーキーを褒めつつも、コーキーにビリーを任せること自体には「I don't think」が回答。
コーキーのパパはビリーの父親の職場を訪ねる(ビリーの父親は歯医者さん)。ビリーの父親は「Corky is great kid.」だと言いつつも、自分の不在にビリーを任せられるかといえば…、と苦い顔。コーキーのパパはビリーの父親に話し続け、ビリーの父親の表情は少しずつ変化が出始める。
そして。ビリーの父親からコーキーに電話。ビリーの父親からベビーシッター依頼の電話。いよいよコーキーがベビーシッターをやる日が来る。ビリーはコーキーになついていて、なんの問題も無い。コーキーはビリーと上手に遊び、上手にビリーを寝かしつける。後はビリーの両親の帰宅の時間を待つだけ。コーキーと眠っているビリー、扉が閉まった家の中ではなんの問題も無い。でもトラブルはその後玄関のチャイムとともにやってくる。
まずやってくるのはタイラーとその仲間達。ベッカが映画を観に行っているその映画館にタイラーたちはやってくる。上映中に騒ぎながら入ってきて、そのまま上映中の映画館で大騒ぎ。映画館側からつまみ出される。そしてその一行は、コーキーのベビーシッターを見物しに、コーキーがいるその家にやってくる。ビリーが寝付いてほっとしているコーキーのところに。コーキーがなんか金持ちのでかい家でベビーシッターをやるらしい。そんなことを聞いていたから。
一行は家の中で大騒ぎ、「Big house」だとかなんとか言いながら、冷蔵庫の中の飲み物を勝手に出し、テレビをつけ、ビリーのおもちゃで騒ぎまくる。タイラーの一喝で集団は帰るんだけど。タイラーはコーキーにすまなそうな顔を向け(こんなつもりじゃなかった)みたいな。オメ、そういう流れになりかねないことはわかってただろ、ああまたここにタイラーの葛藤シーンがあるんだな。
荒れた家の中をきれいに片づけ、ほっとしているコーキー。そこでまた玄関のチャイムが鳴る。来たのはコーキーのパパとママ。コーキー不在のおうちでコーキーの両親は、「子どもたちがみんなお出かけなんだから」と、パパの用意でシャンパン。夫婦いちゃいちゃタイム。でもついついコーキーを思い出してしまい、コーキーの様子を見に行く。オッケー、なんの問題も無い。パパとママは帰る。
そしてまた鳴る玄関のチャイム。扉を開けるとファイヤーマン。すみません、コーキー以上にファイヤーマンの言ってることがわからんわたし。とにかくすぐに避難しなきゃいけないシチュエーションが外で起きています。家の外は大変なムードで、ご近所の方々が避難を開始しています。ビリーは寝ている、コーキーは早く早くとせかすファイヤーマンを待たせて、次の判断をあおぐためにコーキーのパパとママに電話を入れるんだけど、電話のベルはひたすら鳴り響くだけ。パパとママには連絡が取れない。
あい、ここからまた長くなるのでまた明日。↓動画は、ビリーと遊んでやるコーキー。